第15話

弟より彼女
217
2020/05/05 15:11
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…んー…
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…やっぱり記事で見てたのとはちょっと違うのかなぁ…
お店に入って、中で流れる優雅な音楽を聴きながら、また頭を抱える。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
(…んー…ちょっと派手すぎ…?)
日向 北斗
日向 北斗
派手すぎ。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…(ビクッ)
…心読まれた…!?
気づいたら表のマネキンが来ていた服と同じものを持った私の隣で、北斗が釘をさしている。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…ちょっと、!選ばないんじゃなかったのー?
日向 北斗
日向 北斗
お前のセンスに任せたらとんでもねぇのに決めそうだからな〜
泉谷 千咲
泉谷 千咲
(…ムッ)
日向 北斗
日向 北斗
だっせぇの買って俺が選んだと思われちゃ、たまったもんじゃねぇよ…
選びたいのか選びたくないのかどっちなのよ…。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
なによ!私にだって服選びのセンスくらいっ…
日向 北斗
日向 北斗
言っとくけどそのシャツにそのパンツは有り得ねぇからなー?
泉谷 千咲
泉谷 千咲
(…ギクッ)
私が持っているシャツとパンツは、確かに「合いそう」と思って手に取ったものだった…。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
(…なんか悔しい…。)
でも北斗は、チャラチャラしてるような服を着てることが多いけど、洗濯物の中には女ウケしそうなシンプルな服もあったり、
たまに部屋の隙間から見えるジャケットは、そこそこかしこまったパーティーなんかに堂々と着ていけそうなほど、キマっていたりする。
…周りが思ってるほど、センスがない人でもなさそう…。
日向 北斗
日向 北斗
で?なんで服にしようって決めたんだよ。
日向 北斗
日向 北斗
もしかして洗濯物畳んでたら、直兄が同じようなTシャツ使い回ししてるの気になったとか、そんなところかー?笑
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…まぁね…笑
す、鋭い…っ。そして的確すぎる…っ!
日向 北斗
日向 北斗
まぁ確かに直兄、昔から服は、からっきし興味ねぇからな、笑
泉谷 千咲
泉谷 千咲
それに比べて北斗は、なんか服好きそうだねっ!
日向 北斗
日向 北斗
別に特別好きとかじゃねぇよ、
日向 北斗
日向 北斗
昔から直兄のお下がり着てることが多かったけど、
日向 北斗
日向 北斗
そろそろ俺も、自分が好きな服着てぇなって不意に思っちまったからなー…
日向 北斗
日向 北斗
そっから色々調べてた時期はあった。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
そ、そうなんだ。
喋りながら、後をついてくる私に、気になった服をポンポン取っては渡してくる。
…っていうか…こんなに素直に自分の話する人だったっけ…。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…でも、なんか良いね。
日向 北斗
日向 北斗
…んー…?
泉谷 千咲
泉谷 千咲
私が頼んだことだけど、
泉谷 千咲
泉谷 千咲
弟に、自分の似合いそうな服選んでプレゼントされるのって、兄としては凄く嬉しいことだと思うよっ!
日向 北斗
日向 北斗
…っ…。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…うぅ…ってか…重い…っ。
大量の服を詰め込んだカゴを両手で支えたままフラフラしていると、
グイッ
泉谷 千咲
泉谷 千咲
うわっ…!
いきなり北斗が、
私の手に自分の手を重ね、一緒にカゴを持つ体勢になった…。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…っ!//
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…え、ちょ…北斗っ!?
み、身動きが取れない…!
日向 北斗
日向 北斗
俺からすれば、お前から貰う方が直兄は喜ぶと思うけど…?
泉谷 千咲
泉谷 千咲
…え…?
きょ、距離が…!顔が近い…っ!//
日向 北斗
日向 北斗
弟より彼女の方がいいだろ。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
か、か、か、…!!//
…彼女…!?!?///
日向 北斗
日向 北斗
…?違ぇの?
バッ…!
泉谷 千咲
泉谷 千咲
ちが、!ち、違うよっ!!!
日向 北斗
日向 北斗
痛っ!?
唐突な言葉にびっくりして、つい持っていたカゴを手放して、北斗の足元に落としてしまう…
日向 北斗
日向 北斗
いってぇ…。
泉谷 千咲
泉谷 千咲
あぁぁぁ〜!!ごめんっ!!
泉谷 千咲
泉谷 千咲
で、でも!突然彼女とか言うから…っ!
日向 北斗
日向 北斗
んだよ、最初に同居するってなった時、直兄なんかあっさり受け入れてたから…てっきり付き合ってるか、直兄が好きなんじゃねぇかと思ってよ。
日向 北斗
日向 北斗
でも俺とやけに仲良くさせたがるから、後者は有り得ねぇかと…
た、確かにあの時は私も直樹くんがあっさりしすぎててびっくりしたけど…
私が直樹くんの彼女だとか…直樹くんが私の事を好きとか…有り得るわけない…。
でも、その時…私は…
そうであってほしい。と思うかのように…
…なぜか反論の口を開けなかった_。

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