【C5】がいるからっ…!
教室に入って
自分の席に腰を下ろそうとしていると、
後ろの席の麻美と京子にまたもや声をかけられる。
鞄から携帯を取り出すと、
LINEグループ会話にて、
二人からメッセージが届いていた。
"今日の放課後、
一緒に行ってみましょうよ!"
"ここよ"
と、送られてきているお店のホームページ。
クリックしてみると、
たくさんの美味しそうなパフェがっ!!
思わずヨダレが垂れてきそうなほど、
久しぶりにこんな豪華なパフェ
食べてみたいなぁ~と思いながら、
金額チェック。
すると…
ごっ、5800円!?!?
580円の間違いじゃないの!?
思わず大声をあげてしまった。
ど、どうしよう…
ここで高い!なんて口にしてしまえば
かなり怪しまれるし、
貧乏人だってバレる可能性大だ。
どうしようっ…!?
どうやってこの状況を乗り越えればいい!?
穏便に、なるべく素早く!
どうすれば…
と、頭をフル回転させていると
廊下から聞こえてくるたくさんのギャラリーの声にギョッとする。
周りの皆も、
緊張してる様子。
一瞬に、
ざわめき出すクラス。
心当たりは…ない。
けど、いつバレてもおかしくはない。
どうしよう、…
ひょっとして、
バレた……?
カツカツカツカツと
たくさんの大きな足音が教室内に響き渡ってくる。
徐々に、
ゆっくりと、
私の席に近づいてくる足音たち。
もう、ダメだっ!!
目をつむって、
下を俯く。
バンッ!!!!
と、机を叩く音が近くでして、
ビクッ!と過剰に体が反応した。
けど…私の机じゃぁ、
ない…
恐る恐る顔を上げて、
周りを見渡すと
隣の席の男子の前には…
コレクト5【通称・C5】がいた。
《この英徳学園の品位を保つ為、
"庶民狩り"を行う5人組で、
学園内での人気は高く、
学園外でもその名を轟かせているらしい。
そんな彼らだけが着用を許されている
ブラックジャケットは皆の憧れらしい…。
平 海斗(たいら かいと)
真矢 愛莉 (まや あいり)
栄美 杉丸(えいび すぎまる)
成宮 一茶 (なるみや いっさ)
そして…コレクト5のリーダー。
神楽木 晴(かぐらぎ はると)。
この5人こそが、
英徳学園の"誇り"ともいうべきなのだろうか。》
涙を流しながら、話している小松原くんに
同情を覚えてしまう。
私だって、
お父さんの会社が倒産した時は、
ほんっとにお先真っ暗で…
しんどかったもん。
頑張って、小松原くん!!、
心の中で、必死に小松原くんを応援した。
けど、
そんな小松原くんの気持ちを聞きもせず、
コレクト5のリーダー、神楽木は…
退学届を小松原くんに向かって投げた。
冷たい目で、
そう言い捨てる。
神楽木は、それだけ言うと、
帰っていった。
そう、これが
"庶民狩り"だ。
ーーーーーーーー
神楽木たちが出ていった後、
教室内には小松原くんの泣き声が響き渡っていた。
けど、そんな小松原くんに…
口々に吐き出される悪口。
こんなやり方、おかしいと思う。
卑怯だと思う。
何か言ってやりたいと思う。
けど、
今の私にはそれができない。
目立つようなことをしたら…
自分が危ないから。
でも結局私は…
何もしてあげられない。
悪口を言ってる皆と同じ、同類なんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。