第8話

story
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2018/06/19 11:50
お母さん
もう家事は任せてって言ってるのに
江戸川 音 (えどがわ おと)
お母さんに任せたら3日かかるから
お母さん
お洗濯くらいできるわよ
そんな小言をソファーにドカンと


ねっころびながら言うお母さんを無視して


ひたすら小さな窓の外にある物干し竿に


洗濯物をかけていく。
お母さん
…五時間くらいあれば
江戸川 音 (えどがわ おと)
五時間って…(笑)
そうこうしてる間に


洗濯はあっという間に終わって


かけていたエプロンを外していると、


ふいに視界に入ってきた大きな衣装箱。
お母さん
音ちゃんがお仕事に行ってる間に
届いたの♪
と、急にソファーから身を乗り出して


駆け足でその衣装箱へと向かうお母さん。
お母さん
じゃーん!
月に一度のお楽しみ~
ほーら。綺麗でしょ
中には


黒いお洒落なヒール。


見るからに高価なバッグ。


ドット柄の可愛いワンピース。
お母さん
素敵なフィアンセさんよね
江戸川 音 (えどがわ おと)
…だね
《我が家がこんなになってからも


天馬くんとの婚約は続いてる。


それは…天馬くんのお母さんの遺言でもある。


ただし、条件付きで。


それは、18歳まで英徳学園に在籍すること》
お母さん
…今月も素敵なプレゼントをありがとうございます。
今、音に代わります
"はい"


と渡された携帯電話を


戸惑いながらも受け取る。
江戸川 音 (えどがわ おと)
もしもし。
いつもお心遣いありがとうございます
電話越しの相手は 



天馬くんの義母の理恵さん。
理恵さんは毎月必ず


たくさんのプレゼントを用意して今日みたいに


家まで届けてくれる。
感謝。



こんな高価な物、



今の私には程遠いものだから…、


《この婚約だけが





うちの家族の希望の光。





だったのだけど…》

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