碧斗が遺品を整理していると…
一通の手紙があった。
そこには…『お兄ちゃんへ』と書かれていた。
「お兄ちゃんへ
この手紙を読んでいるときは私が天国に行
ったときでしょう。
今からお兄ちゃんとの好きな思い出をはな
すね!
前に行った、夏祭りのとき!
お兄ちゃんが金魚すくいやりたい!ていっ
て、やったときあるじゃん!?
その時、何度も何度もポイが破れて結局は
一匹しか取れなかったときあったよね
面白かったよー!でもね、そういうところ
がお兄ちゃんらしいなって思ったの。
あとはね、逆上がりができたとき!
あれは、お兄ちゃんが毎回嫌な顔をせずに
一生懸命に教えてくれたからだよ!
だから、成功したのはお兄ちゃんのおかげ
だよ!ありがとね!!
とっても好きな料理があります!
お兄ちゃんの作るオムライスだよ!あれを
超えるオムライスはないと思う!そのくら
い美味しいんだよ!
そのオムライスが食べられないなんて…
そう考えると涙がこぼれそうになります。
お兄ちゃん、大好き!💗
もう会えなくなるのは寂しいけど、さよな
らは言いません!
今度は天国であうことになるね!
私からお兄ちゃんにお願いがあります!
香菜さんのことを大切にすること!
寛太をよろしく!
お母さん、お父さんを大切にしてね!
そして、私を忘れないでね!
だから、忘れることがないように、ミサン
ガを作りました!あと、キーホルダーもい
れてあるよ!お兄ちゃんと私のイニシャル
入りでね!
大切に使ってねー!
私は風で、お兄ちゃんのことを応援しま
す!だから、風が吹いたら私だと思ってね
またね!お兄ちゃん大好きだよ!
紗耶香」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!