海斗が入院した。元気だとは思ってなかったけどここまで悪くなってるとは思いもしなかった。私がもっと早く気づいて入院してちゃんと治療するように勧めてたら良かったのかもしれない。私が海斗を引っ張っていたんだ。私が悪いんだ。こんなことを考えてもしょうがないとわかってのにマイナスな考えしか浮かばない。
スーパーで果物を買って海斗の病院に行った。
病院に行く間ずっと心臓がバクバクしていた。海斗の顔を見たら泣いてしまうかもしれない。
そんなことを考えていたが病室の前に来ると中から海斗の楽しそうな声が聞こえた。
スルスルと綺麗にりんごの皮をむく。りんごの皮をむいているだけなのに何故かときめく。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!