ふと、私は端っこでこちらを睨んでいる
角のような帽子を被った男の子が目に入った
マンダレイが言うにあの男の子は「光汰」というらしい
私達を心底鬱陶しそうな目で見ている
お、これはこれは大分捻くれていらっしゃる
......根は優しい子なんだろうなぁ
最初、話しかけてこないから人見知りなのかと
思ったけど、違うみたいだ
光汰君が私達を見る目は1度見た事がある
幼少期の焦凍がエンデヴァーを見る目だ
この子はきっと何かに絶望させられたのだろう
…ちょっと難しく質問しちゃったな
まだ小学生だし、分かりやすく言わないと
やっぱりなぁ......
だった...ねぇ、つまりは今はヒーローじゃない
もしくは......
これは辛いな...
まだ10歳にも満たない子にとって親が全てだからね
「命をかけて人を守った」それは社会にとったら「良い事」でも光汰君にとったら
「大事な家族を殺された」という事実しか残らない
私がそう言って腕を広げると
光汰君は一瞬目を見開いたけど直ぐに飛びついて来た
…あーあ、私も……我儘言ってみたかったなぁ
駄々こねたり、泣いたりしてみたかったなぁ…
.…いいなぁ、光汰くん
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。