次の瞬間
己を囲む炎の外側から何かがこちらに飛び出し
攻撃しようと腕を振るが
それは呆気なく掴まれ、気がつけばその息を切らす誰かに優しく抱きしめられていた
…この甘い匂いは……
私を囲む黒い炎は私が今まで出してきた炎の中で最強で最高熱度の炎だ
3秒触れ続けたら皮膚は焼け落ち肉まで焼ける
そんな危険な炎に突っ込んでまで来てたの?
爆豪なら分かるでしょ?馬鹿じゃないんだから
得体の知れない物がどれだけ危険か
ふと目を逸らせば、ヴィラン達はオールフォーワンにより何処かへとワープされている
…そっか
留めなく流れる涙は瓦礫しかない地面を濡らしていく
…あー…やっと言ってくれた……
何時もと同じキツくて素っ気ない返事
それでも答えてくれる爆豪の優しさが今は心地いい
ずっと、ずっと誰かに認めて欲しくて、愛して欲しくて
底なし沼の中で必死に探して
藻掻いても見つからなかった答え
ねぇ、爆豪…爆豪は、私を認めてくれる?
ねぇ、父さん
あなたの言う通り、ホント救いようのない人間だよ、私は
でも、私を救おうとしてくれた人間は
確かに今、私の目の前にいるんだよ
そこで私の意識は途絶えた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。