原作ではまだですが、
この話だけクリスマスの時期にします
では、本編どうぞ
朝、雪が積もっている道を1人で歩く
幼く小さい手は寒さと降ってくる雪で真赤だった
目の前には母と笑顔で手を繋ぐ兄の姿
家族に嫌われる個性を持った私には
もうあの綺麗な笑顔は見せてくれないのだろう
1度顔を上げたがまた1人でトボトボと下を向いて歩く
この季節、何処へ行っても赤と緑の色で溢れてる
「クリスマス」の日はもう直ぐそこだった
自分にはもう聞いてくれない質問
母と手を繋げて嬉しいのか
プレゼントを貰える事が嬉しいのか分からないが
その質問に対して、兄はキラキラした顔で悩んでいる
『一年、いい子にしてた子だけに
ご褒美としてサンタさんにプレゼントを貰える』
昔、まだ個性が出ていない時に母に教えて貰った
きっと今年も、兄達は沢山のプレゼントを貰える
だって「いい子」だから
「悪い子」の私にはサンタさんからのプレゼントは無い
どれだけ母の手伝いをしても
ご老人に優しくしても
物を大切にしても
友達を大切にしても
私には、なんのプレゼントも無いのだ
それでも、私は毎年同じ質問を母にする
決してコッチには振り向かず
冷たい声で私を置いて進む
そう質問する
すると母は進めていた足をピタリと止めた
兄は不思議そうに母の顔を覗き込む
やっとコッチに振り向いて
言った一言はそれだけだった
ここで、「来るよ」なんて言ってくれたら
どれだけ嬉しかっただろうか
それだけ言うと、母はまた歩みを進める
________私は何時になったプレゼントを貰えるのかな
幼稚園に向かう途中だった
何時も通り、1人で長い道を歩く
すると
前からランドセルを背負った小学生が走って来た
やっぱり...皆は「いい子」だから貰えるのか
笑顔で、なんの悪気も無い男の子は
私にとって、絶望を与えるような言葉を発した
笑いながら私の横を過ぎ去って行く男の子達
きっと、なんの悪意も無かったのだろう
けど、私にとっては__________
親から、家族から愛されてないと
感じさせられる言葉だった
そんな事も知らず、枕元に
毎年の12月25日に赤い靴下を置いていた私は
家族から見れば...きっと馬鹿な子だろう
最近口癖になった
言葉をまだ雪が降ってる空に向かって呟く
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。