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と、切島が私に見せてきたのは
黒いタンクトップとジーパン......
男用から選んできやがった
え嘘でしょ今気付いたの?
次は爆豪、白い肩出しの服に、肘位までの長さの
袖の薄い上着、下は黒い短パン
直ぐに会計に向かい
会計を済ませてから店外で待っていた
爆豪達の方へ向かった
そして、フードコートの方に歩きながら
爆豪と切島と談笑していると
切島と爆豪が...
と、言い出したので、近くのベンチで待つ事にした
待ってる間、することも無くボーッとしていた
そのとき背後から声がしたんだ
その声の主がヴィランと気付くまで
時間はかからなかった
だって...
私の首に指を回し、段々キツく締めているから
真後ろにいるから顔が見えない
なんで名前……あ、そうか雄英体育祭を見たのか
だとしても私になんの用...?
会った事がある?...でも、この声は聞いたことが無い
じゃあ...誰?いやあの、ホントに誰?
まずは顔を見ないと......
私は自分の首に回されている指を無理矢理剥がし
少し自由になった首をまた掴まれる前に振り向いた
そこに居たのは、少し尖った黒髪と私と同じ色の
葵い目をした、顔が半分焼けた男
私は1度見た眼は忘れない、この目...見た事がある
幼い頃、私の事を何度も写した葵い目...
震える体を必死に抑えながらそう問うた
黒い髪だけど、間違いない...
だって...その眼は…!!
そう言って口角を上げたその男は
昔の面影など何一つない
死んだと思われていた兄は...私の目の前に居る
...ヴィランとなって...私達の敵となって
驚きと恐怖、色んな感情が混じって声が出ない
冷や汗が背筋をなぞるのが分かる
もし、私がここで戦えばどうなる?
周りの雑音は消え、この場は一気に血溜まりに
.........大人しくしてるしかないのか
燈矢兄さんは私の首に当てていた手を
今度は頭に持ってきた
ポンポン、と幼い頃何度もしてもらったように
私の頭を優しい目で撫でる燈矢兄さん
嗚呼…敵になってもこの人は私の兄さんなんだなぁ
…え?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。