第25話

24
1,056
2021/08/23 12:52






隣の部屋に通されて、ソファーに腰掛ける。




向かいには青宗とココ。





数年ぶりにこうやって話せるのだ。




喜んでもいいのかもしれないが、あくまで敵。










ココ「なんでお前東卍にいるんだ?」










張り詰めた空気を切り裂くようにココが口を開く。





言えない。




マイキーくんの呪いを祓うためなんて。





でも、今私が東卍にいる理由。




それは、呪いを祓うためだけではない。












あなた「入ったのは成り行きだけど…やっぱり楽しいから、かな。」







あなた「逆に聞くけど、なんで2人は黒龍に?」










青宗が黒龍を好きなのは知っている。




過去に聞いていた。




おれは真一郎くんの創った黒龍に入るんだ、と。




でも、青宗の入った時代の黒龍は青宗が好きな黒龍じゃなかったはずだ。









乾「俺達は、強い奴が好きだ。」









知っている。




でも、強さって喧嘩だけじゃない。




それを教えてくれたのは_______








あなた「アンタらのボスがのした、花垣武道って居たでしょ。喧嘩は弱いよ。私よりも。」








でも。










あなた「芯の強さだけは、誰にも負けないんじゃないかな。」









まっすぐと前だけを見つめている目。




青宗なら、アイツの目を見て何か感じるはずだ。








ココ「今、俺らが命を預けているのは、柴大寿だ。」




あなた「分かってる。でも、一回、ちゃんと花垣を見てみて欲しいんだ。今の黒龍は真一郎くんの創った黒龍とは違う。」




乾「そうだよ、今の黒龍は俺の憧れた黒龍じゃない。だから創り変えるんだ。」








無理だよ。




柴大寿は、そんな目的で黒龍をやっていない。










九井「お前は敵なんだ。今日お前を呼んだのは、東卍に居る理由を聞きたかっただけだ。」




乾「お前が東卍に居る理由と、俺らが黒龍に居る理由は全く違う。俺は黒龍を辞めねぇよ。」










黒龍を辞めろなんてことが言いたかったんじゃない。




ただ私は、2人がこれからも犯罪を犯し続けていくことが怖いだけだ。




黒龍がこの状態の限り、2人は犯罪から手を洗うことはできないだろう。





そんな思いも虚しく、三ツ谷くん達が帰るときに私も部屋を追い出されてしまった。

























千冬「結局、八戒は黒龍に行っちまうって話だな。」








幹部会とさっきの話し合いの結果は聞いた。





家庭の事情に、私達は深く入り込めない。




私の家庭だって、決して恵まれている訳ではない。




高専のみんなだって、複雑な家系の人がほとんどだ。




自分の立場に苦しめられている人も多い。














三ツ谷「生まれた環境を憎むな。」









この言葉は、私の胸に大きく響いた。




プリ小説オーディオドラマ