万次郎「たい焼き2つ!」
「まいどありー!」
はい、そうです。
食べ物で釣りました。
あなた「クリスマスはマイキーくんとドラケンくん来てくれてなかったら、私達みんな死んでたよ〜」
万次郎「俺が着いたときにはもうお前死んでたぞ?」
たい焼きを食べながら海に向かって歩く。
あなた「まあかっこいいタケミっち見られなかったのは惜しいけどね。」
万次郎「かっこいいタケミっちなんて滅多に見れねぇもんな。」
あなた「でもマイキーくんはそんなタケミっちが大好きなんだよねっ」
万次郎「うるせっ」
あなた「ああっ、私のたい焼き!!」
あんこを口の端につけてVサインをするマイキーくんを睨む。
あなた「あ、だるまさんがころんだしようよ。」
万次郎「冬に海来てだるまさんがころんだやんの?」
あなた「ま、まあまあ。マイキーくん鬼ねー。」
グイグイと背中を押して後ろを向かせる。
あなた「負けないよ〜」
勝ち負けなんてあるのか知らないけど。
万次郎「だーるまさんがー、」
マイキーくんの真後ろまで迫る。
拳に呪力を込めて、マイキーくんの頭の上の呪霊を見据える。
あなた「おりゃあっ」
見ると、呪霊は目を瞬かせて少し悲しそうな顔をした後、フッと消えていった。
…………………祓えた、のか?
これで祓えたなら、今までの私は何をしてたんだ…。
少しの嬉しさと大きな寂しさが私の胸をいっぱいにする。
万次郎「おい、何普通に動いてんの。」
あなた「………………あ"。」
万次郎「はい、あなたの負けだからどら焼き〜っ」
あなた「え、さっきたい焼き食べたとこじゃん。」
勝ち負け、あったんだ。
あなた「いいじゃんいいじゃん。似合ってんじゃーん!」
伏黒「うるせぇ。お前も早く着替えろ。」
大晦日の夜。
恵と神社で年を越すのは毎年恒例だ。
そう。面倒くさがる恵を引きずって行くのも恒例。
マイキーくんの呪霊は祓えたので、もう私がこっちの世界にいる理由はない。
ただ、少し名残惜しいから、今度タケミっちと千冬に話してから現代に戻ろうと思う。
伏黒「着替えたか?」
やっべ、1人でしんみりしちゃってた。
………………………そういえば、どうやって着るんだっけ。
あなた「着方わからないんだけど!」
でっかいため息の後に、不機嫌な声で津美紀を呼ぶのが聞こえる。
恵が不機嫌なのはいつものことだけど。
津美紀「ちょっと今忙しいから、恵が手伝ってあげてー!」
あなた「……は?」
いやいやいやそれはないでしょ!
部屋のドアノブがガチャガチャ音を立てる。
伏黒「鍵開けろ。」
ねえなんで拒否らないの!?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。