ジリリリリリッ!
今日すでに5回ほど鳴っている目覚まし時計の頭をバンッと叩いて、重い体を起こす。
伏黒あなた。
呪術高専1年、2級術師。
術式は双子の兄と同じ、十種影法術。
二卵性双生児なので、2人とも術式を持っているのだ。
これまで、というか今も、恵にひっついて生きている。
自他共に認めるお兄ちゃんっ子だ。
ここに来る前、恵には家に居ろと言われたが、まさか私が1人で暮らしていけるとでも思ったのかな。
五条先生は快くOKしてくれたため、寮で過ごすことができている。
昨日の残りのご飯に卵を割り入れ、急いでかき込む。
ストレートの黒髪を束ねて、ツヤツヤの制服に袖を通す。
部屋を出てグラウンドに向かって走る。
途中で五条先生が何か言ってきた気がするが、気にしない。時間がないんだ。
あなた「おはよー!!」
虎杖「おーっす!」
真希「またお前が最後か。」
息を切らして膝に手をつくと、呆れた目で見られる。
パンダ「もう誰か起こしに行ってやれよ。」
狗巻「しゃけ。」
野薔薇が大きなあくびをする。
昨日は夜遅くまで2人で流行りのドラマを見ていた。
あなた「明日こそはちゃんと起きるから!!」
伏黒「それ言うの何回目だよ。」
パンダ「ほいほい。どうせまだ頭起きてねぇんだろ。一発投げてあげる。」
悠仁に助けてと目で訴えるが、ガッツポーズで返されてしまった。
ヒョイッ
あなた「…………え"。」
パンダ「いってこーい!」
ブンッ
あなた「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
え、パンダ先輩また力加減ミスってない?
私が飛んでいく先にはよりによって非力な恵。
南無阿弥陀仏。私は悪くない。
ビリリッ
唇に何か感触があると同時に、全身に電気が流れるような感覚。
…………嘘、ホントに死ぬの?
「あなた。おい、起きろ。」
しばらく見ていなかった大好きな景色。
…………家だ。
津美紀「あなたは相変わらずよく寝るねぇ。恵もだけど。」
……………津美紀?
おもむろにスマホを見て愕然とした。
2年前の今日??
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。