それから月日が経ち、僕らは二年生になっていた
二年になってもう一ヶ月も経ったのか…
自分の席に座りボーッと外を眺めていると
あなたが来て笑顔で挨拶をしてきた
そう。二年生になりクラス替えをしてあなたと同じクラスになったのだ。しかも席が隣っていう、なんと嬉しいことか
それにこの一年間で僕のことを下の名前で呼んでくれるようになった
それだけでも大きな事だ
真希とパンダはというと変わらず僕の恋を応援してくれている
なるべく二人にさせてくれるし…。良い友人を持ったと改めて実感する
二人のことを考えているとちょうど教室に入ってきた
いつものように他愛のない話をしていると先生が教室に入り連絡事項を伝えて休み時間を挟んでから授業が始まった
ー放課後
今日も一日が終わり、帰る支度をする
あなたもちょうど帰る用意が終わったのか声をかけられた
そう、これもこの一年での変化だ。
僕が帰りは一緒に帰りたいとお願いをしたら良いよと快い返事が返ってきた。
そしてお互い用事が無い場合はなるべく二人で帰ると約束した
僕達は楽しくお喋りしながら歩いていると下駄箱に着いていた
あなたが突然誰かの名前を呼んで走っていったのでその方向を見るとあの男が立っていた
ちっ…またアイツか…
あなたが伏黒に駆け寄るとコイツは少し笑顔になり僕のことをいないかのように無視してあなたと話をし始めた
話せば長くなるが、
この伏黒という男は今年この高専に入ってきた生徒で、あなたがコイツと話しているのを見て誰なのか聞くと、同じ中学の後輩だということが分かった
だから、一応挨拶ぐらいしとけばいいかと軽く思っていた。
だけど、二週間ぐらい経ってやっと自分は気づく
コイツは明らかにあなたのことが好きだと。
あなたと話している時のアイツの顔は楽しそうだし、あと問題なのがスキンシップが少し多いことだ
あなたは全然気にしてなさそうだけど…っていうか気づいてない…?
そして、つい先週のことだ
僕は伏黒に呼ばれて何の話かと思ったらあなたのことだった
唐突にそう言ってきた伏黒。
でも、こんなことを言う気がしてたのでそんなには驚かなかった
で、僕は素直に「そうだ」と伝えたら
と、僕を嘲笑うかのように言って姿を消した伏黒。
それにすごく腹が立ったのを今でも鮮明に覚えている
あなたと一緒にいた時間が多いからってなんなんだよっ…。
あー、考えてるだけでイラつく
昔のことを思い出しながら話している二人を見ていると今まで楽しく喋っていたあなたがこちらに駆け寄ってきた
そう言うと何故かあなたはまた伏黒のところへ戻っていった
まさかっ…
まさかとは思ってたけど本当に予想していた通りの展開で思わず大きな声を上げてしまった
っ、なんなんだコイツは…
コイツの発言に、あなたが庇ってくれたからすぐに伏黒は引き下がった。
そして一瞬睨まれた、気がした
その帰り、あなたは僕たちの仲が悪いのを察しているのか僕達が喧嘩しないよう上手く会話を繰り広げていたが、いちいち伏黒が僕に突っかかってくるのをあなたが一生懸命なだめていた
こんなヤツにあなたを取られないようにしようという気持ちが増していくばかりだった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。