第5話

ライバル
1,097
2021/07/17 08:27


それから月日が経ち、僕らは二年生になっていた


二年になってもう一ヶ月も経ったのか…


自分の席に座りボーッと外を眺めていると
あなたが来て笑顔で挨拶をしてきた

神川  (なまえ)
神川 あなた
おはよう、棘くん!
狗巻  棘
狗巻 棘
ツナっ…!

そう。二年生になりクラス替えをしてあなたと同じクラスになったのだ。しかも席が隣っていう、なんと嬉しいことか


それにこの一年間で僕のことを下の名前で呼んでくれるようになった

それだけでも大きな事だ


真希とパンダはというと変わらず僕の恋を応援してくれている
なるべく二人にさせてくれるし…。良い友人を持ったと改めて実感する


二人のことを考えているとちょうど教室に入ってきた
禪院  真希
禪院 真希
よお、棘とあなた
パンダ
パンダ
おはよう
神川  (なまえ)
神川 あなた
あっ、真希ちゃんとパンダくんおはよう!
狗巻  棘
狗巻 棘
わかめ
禪院  真希
禪院 真希
あなたよぉ、パンダのこと「くん」付けで呼ぶの違和感しねえか?
神川  (なまえ)
神川 あなた
そうかな…?
パンダ
パンダ
まぁ言ったところで直すつもりは無さそうだけどな。別にあなたから呼ばれて嫌な気しねえから良いけど

いつものように他愛のない話をしていると先生が教室に入り連絡事項を伝えて休み時間を挟んでから授業が始まった




ー放課後


今日も一日が終わり、帰る支度をする
神川  (なまえ)
神川 あなた
棘くん帰ろ!
狗巻  棘
狗巻 棘
しゃけっ!

あなたもちょうど帰る用意が終わったのか声をかけられた


そう、これもこの一年での変化だ。
僕が帰りは一緒に帰りたいとお願いをしたら良いよと快い返事が返ってきた。


そしてお互い用事が無い場合はなるべく二人で帰ると約束した



僕達は楽しくお喋りしながら歩いていると下駄箱に着いていた
神川  (なまえ)
神川 あなた
あっ、伏黒くん!

あなたが突然誰かの名前を呼んで走っていったのでその方向を見るとあの男が立っていた



ちっ…またアイツか…

伏黒  恵
伏黒 恵
あなた先輩っ…!

あなたが伏黒に駆け寄るとコイツは少し笑顔になり僕のことをいないかのように無視してあなたと話をし始めた



話せば長くなるが、
この伏黒という男は今年この高専に入ってきた生徒で、あなたがコイツと話しているのを見て誰なのか聞くと、同じ中学の後輩だということが分かった


だから、一応挨拶ぐらいしとけばいいかと軽く思っていた。



だけど、二週間ぐらい経ってやっと自分は気づく



コイツは明らかにあなたのことが好きだと。
あなたと話している時のアイツの顔は楽しそうだし、あと問題なのがスキンシップが少し多いことだ

あなたは全然気にしてなさそうだけど…っていうか気づいてない…?


そして、つい先週のことだ

僕は伏黒に呼ばれて何の話かと思ったらあなたのことだった

伏黒  恵
伏黒 恵
狗巻先輩って、あなた先輩のこと好きですよね?


唐突にそう言ってきた伏黒。

でも、こんなことを言う気がしてたのでそんなには驚かなかった

で、僕は素直に「そうだ」と伝えたら

伏黒  恵
伏黒 恵
絶対負けませんから。まぁ俺の方があなた先輩と一緒にいた時間は長いですから有利だと思いますけど…。
せいぜい狗巻先輩は黙って俺があなた先輩を落とすところ見ててください

と、僕をあざ笑うかのように言って姿を消した伏黒。
それにすごく腹が立ったのを今でも鮮明に覚えている


あなたと一緒にいた時間が多いからってなんなんだよっ…。
あー、考えてるだけでイラつく


昔のことを思い出しながら話している二人を見ていると今まで楽しく喋っていたあなたがこちらに駆け寄ってきた
神川  (なまえ)
神川 あなた
棘くんごめんね!じゃあ帰ろっか

そう言うと何故かあなたはまた伏黒のところへ戻っていった

まさかっ…
神川  (なまえ)
神川 あなた
あ、伏黒くんも一緒に帰ることになったからね!
狗巻  棘
狗巻 棘
ツナっ…!?

まさかとは思ってたけど本当に予想していた通りの展開で思わず大きな声を上げてしまった
伏黒  恵
伏黒 恵
狗巻先輩、何か文句でもあるんですか?

っ、なんなんだコイツは…
神川  (なまえ)
神川 あなた
えっと、伏黒くん、そんなに喧嘩腰に言わなくても棘くんは優しいから大丈夫だよっ!
伏黒  恵
伏黒 恵
す、すみません…

コイツの発言に、あなたが庇ってくれたからすぐに伏黒は引き下がった。
そして一瞬睨まれた、気がした



その帰り、あなたは僕たちの仲が悪いのを察しているのか僕達が喧嘩しないよう上手く会話を繰り広げていたが、いちいち伏黒が僕に突っかかってくるのをあなたが一生懸命なだめていた


こんなヤツにあなたを取られないようにしようという気持ちが増していくばかりだった



プリ小説オーディオドラマ