僕もその辺にあった服を着て彼女を追いかける
僕はモデルをやっていて、
一応某ファッションブランドのアンバサダーを
務められるくらいにはなれた
不定期だけど撮影のある日も多くて、
ヌナは僕の仕事のことをよく気にかけてくれる
そう言って今度は正面から僕を抱きしめる
こうやって簡単に欲しい言葉をくれる
彼女の香りも、笑顔も、体も…
心以外は全部僕のもの
そう言いながら彼女は僕を離れて
下着姿のままソファに座る
僕はクローゼットから
元カノの使っていたガウンを出した
これは、わざと。
するとヌナはジトっとした目で僕を見上げてきた
そう言ってぷいっと顔を背けてソファに行ってしまう
僕はついもっと欲しくなって、ヌナの横に座る
僕の胸に手を置いて熱っぽい目で見上げてくる
あぁ、可愛い
こんなのまるで告白みたいじゃん
するとヌナは顔を上げてニコッと笑った
お決まりのやり取り
でも僕は毎回しっかりヘコむ
彼女は僕に愛情も独占欲も見せるし、
時には束縛すらするのに…
痛いほど分かる
ヌナは僕にちっとも恋なんかしてないって
恋人じゃないけど、セフレほど淡白でもない
だけど、ヌナには僕みたいな男が他にもいる
僕らの関係は、なんとも不思議な関係
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。