お風呂から上がってルームウェアに着替えていると
玄関からヌナの元気な声が響く
そう言って僕が渡したのはネックレス
綺麗なヌナに絶対に似合うと思ったんだ
そう言いながらも目をキラキラさせて
ネックレスを見つめているヌナ
可愛い、大好きだよ、って溢れそうになる
ヌナは後ろを向くと首元にかかる髪を
サラリとかきあげる
こういうふとした瞬間の色っぽさにも
ドキドキさせられてしまう
そう言って嬉しそうにネックレスのチャームを
撫でるヌナをちょっとでも独占したい
その思いをちょっと、ちょっとだけ押し付けてみる
ヌナに申し訳なさそうに目をそらされてしまう
なんでそんなに素直なの?
適当に頷いても、バレることなんかない約束なのに
でもその上で、ヌナに約束して欲しい
ヌナの言葉が欲しいんだよ
するとヌナは悩むような顔をした後に言った
分かってる。こんな約束ただの気休め
でも、そんな気休めだっていいから、
ヌナからの言葉が欲しい
ヌナは僕の頬にキスを落として帰っていった
いつかこれが当たり前になるまで、
行ってらっしゃいおかえりなさい、
が毎日言えるようになるまで
僕はずっと、ヌナのこと待ってるよ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!