第3話

失われたモノ
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2020/11/28 07:11
御坂美琴
御坂美琴
黒子.....
あの後無事にアンチスキルが来て
強盗犯は捕まった
無我夢中に名前を呼ぶ私を見て察したのかどうかは分からないけど
病院に電話し救急車を呼んでくれた警備員には感謝してる。おまけに一七七支部にも連絡してくれたし
無事に病院に来ても
医師に大丈夫だと言われても
私は安心できていなかった
黒子は大能力者で空間移動で誰かの能力があたることなんて滅多にない。
それが私のミスで
私の油断のせいで
黒子に怪我をさせてしまった
御坂美琴
御坂美琴
ごめん...
御坂美琴
御坂美琴
ごめんね...黒子
どんなに謝っても返ってくる言葉はなくて
いつものように
「お姉様は気にしないでくださいまし」
ってそう言って笑っても
無理させたい訳じゃない
無理に笑わせたいわけじゃない
でも
でも!
目を開けてよ
黒子
初春飾利
初春飾利
白井さん!!
佐天涙子
佐天涙子
白井さん!
そこに
初春さんと佐天さんが勢いよく病室のドアを開けて入ってきた
正直あまり驚きはしなかった
支部に連絡したということは初春さんに伝わるということだから
佐天さんが居るのもあまり驚きはしなかった
初春飾利
初春飾利
御坂さん白井さんは大丈夫なんですか?
御坂美琴
御坂美琴
うん...
御坂美琴
御坂美琴
今の所問題は無いみたい
佐天涙子
佐天涙子
そうですか...良かった
佐天涙子
佐天涙子
とりあえず安心だね
初春飾利
初春飾利
はい
初春飾利
初春飾利
ほんとっ。焦りましたよ
御坂美琴
御坂美琴
.........
カエル顔の医者
カエル顔の医者
ちょっといいかね
御坂美琴
御坂美琴
ごめん。私今まともに医師の話聞けないから
御坂美琴
御坂美琴
二人で行ってきて
初春飾利
初春飾利
は、はい
佐天涙子
佐天涙子
分かりました
今の状況で何を聞いても
何をされても
納得できない
そんな気がする
どうしようもない罪悪感と
訳の分からない感情が
胃のあたりからくつくつと湧き上がる
身体に力が入って身体が痺れる
白井黒子
白井黒子
白井黒子
白井黒子
んん
御坂美琴
御坂美琴
っ!?
御坂美琴
御坂美琴
黒子!
小さな声であまり聞き取れない様な小ささだけど
確かに黒子の身体が動いた
御坂美琴
御坂美琴
黒子...黒子!
白井黒子
白井黒子
んん...
白井黒子
白井黒子
此処は
御坂美琴
御坂美琴
黒子目が覚めたのね
御坂美琴
御坂美琴
良かった
御坂美琴
御坂美琴
全く余計な心配かけないでよ
白井黒子
白井黒子
貴方は?
御坂美琴
御坂美琴
えっ?
知ってる
この感覚を私は何処かで知ってる
大覇星祭の時食蜂の能力で黒子達の記憶が消えた時と同じような感覚
御坂美琴
御坂美琴
嘘...でしょ?
分かってる
黒子がこんな嘘を吐かないのも
でも
嘘だと言って欲しい
嘘になって欲しい
全て
時を戻せたら



















カエル顔の医者
カエル顔の医者
脳へのダメージが見つかってね
カエル顔の医者
カエル顔の医者
生憎だが
カエル顔の医者
カエル顔の医者
彼女は記憶喪失だ
初春飾利
初春飾利
.....
佐天涙子
佐天涙子
そんな.....
御坂美琴
御坂美琴
黒子...
カエル顔の医者
カエル顔の医者
まだどこかに異変があるかもしれない
カエル顔の医者
カエル顔の医者
念の為
カエル顔の医者
カエル顔の医者
1週間入院してもらうが構わないかね?
御坂美琴
御坂美琴
はい...
カエル顔の医者
カエル顔の医者
寮への申請はこちらから済ませておくから
御坂美琴
御坂美琴
はい
佐天涙子
佐天涙子
御坂さん...
白井黒子
白井黒子
あの...私...
御坂美琴
御坂美琴
.....
佐天涙子
佐天涙子
.....
初春飾利
初春飾利
.....
白井黒子
白井黒子
何か悪い事でも
分かってるんだ
黒子が悪くないのも
私が全部悪いのも
でも
いつものように
私の事
御坂美琴
御坂美琴
ごめん
御坂美琴
御坂美琴
私やっぱり混乱してる
初春飾利
初春飾利
御坂さん......
佐天涙子
佐天涙子
白井さん。私佐天涙子
佐天涙子
佐天涙子
よろしくね
初春飾利
初春飾利
!?
初春飾利
初春飾利
私は初春飾利です!
初春飾利
初春飾利
白井さんとは風紀委員でのパートナーだったんですよ
御坂美琴
御坂美琴
2人共?
佐天涙子
佐天涙子
ほら!御坂さんも自己紹介してください
御坂美琴
御坂美琴
.....
御坂美琴
御坂美琴
私御坂美琴
白井黒子
白井黒子
御坂...さん?
”お姉様”って呼んでよ
御坂美琴
御坂美琴
うん
本当はお姉様って呼んでとも言えばよかったのかもしれない
だけど
出来ないよね
私のせいだもん
私のせいなのに
わがまま言えないよ
佐天涙子
佐天涙子
白井さんは御坂さんの事《お姉様》って読んでたんですよ
白井黒子
白井黒子
お姉...様?
初春飾利
初春飾利
はい!それもすごく慕っていて
白井黒子
白井黒子
.......お姉様
御坂美琴
御坂美琴
ッ!?
白井黒子
白井黒子
お姉様
御坂美琴
御坂美琴
黒子...
確認するかのように私の事をお姉様と呼ぶ黒子に昔と同じ気持ちを抱いてしまう
記憶を失ってるはずなのに
何も変わってないこの後輩に
私は嫌気がさす
でも
名前じゃなくお姉様と呼んでくれるこの子にどうしても
愛着が湧いてしまう
初春飾利
初春飾利
私達は先に帰りますね
佐天涙子
佐天涙子
それじゃ御坂さん
御坂美琴
御坂美琴
うん。ありがとね
御坂美琴
御坂美琴
黒子
白井黒子
白井黒子
はい
御坂美琴
御坂美琴
さっきみたいに私の事呼んでよ
御坂美琴
御坂美琴
これから
ワガママだって分かってる。
でも、どうしても。

黒子から呼ばれる名前は《お姉様》が良い
白井黒子
白井黒子
はい。お姉様
なんでも言うことを聞いてくれて
こんなに素直に私の名前を呼んでくれるこの子を
私は抱きしめた
白井黒子
白井黒子
お姉様?
御坂美琴
御坂美琴
ぅぅ...っ
白井黒子
白井黒子
大丈夫ですの?お姉様
御坂美琴
御坂美琴
黒子...
黒子に抱きついたのは泣き顔を見られたくなかったから
ただそれだけ
御坂美琴
御坂美琴
黒子...........
白井黒子
白井黒子
はい。黒子ですの。お姉様
御坂美琴
御坂美琴
ごめんね...
白井黒子
白井黒子
?お姉様...?
御坂美琴
御坂美琴
ごめん...ごめんね黒子
白井黒子
白井黒子
お姉様...
白井黒子
白井黒子
もう...謝らないでくださいまし
白井黒子
白井黒子
何があったのかは分かりませんが
白井黒子
白井黒子
黒子は大丈夫ですの
御坂美琴
御坂美琴
くろ...こ
白井黒子
白井黒子
泣かないでくださいまし
白井黒子
白井黒子
お姉様
いつもと変わらない声で
いつもと変わらないように
黒子は私を慰めてくれる
でも
覚えていないんだよね
記憶...ひとつも残ってないんだよね
その現実が私の胸に釘を刺す
御坂美琴
御坂美琴
黒子...
白井黒子
白井黒子
はい
御坂美琴
御坂美琴
はやく退院できると良いわね
白井黒子
白井黒子
はい
出来るだけ早く

黒子の記憶が戻ればいい

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