第3話

笑顔
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2018/02/16 16:47

西川さんは、ガラスの向こう側、つまり外に立っていた

傍から見たら誰かを待っているようだったが、いつまで経っても動かないし誰も来ないようだ


無視して帰るのも気が引けるので、軽く声をかけてから帰ろうと思った

織田 佑樹
西川さん。
西川 葵
あ、佑樹くん…!

彼女はとても驚いたのか、目を開かせてこちらをじっと見つめていた


澄んだ、汚れの無い瞳で
織田 佑樹
誰かを待っているようだけど…。
西川 葵
あぁ、彩を待ってるの。
織田 佑樹
彩…?えっと……。
西川 葵
三井彩。私の親友。ほら、同じクラスじゃん。
織田 佑樹
ごめん、俺まだクラスメイトの名前覚えられてなくて…。
西川 葵
そっか。まぁまだ1週間しか経ってないしね〜。仕方ないよ。

西川さんはよく笑う

まだ少ししか話していない俺に、キラキラした笑顔を向けてくれる

その笑顔に引き込まれるかの様に、俺は西川さんを見つめていた
織田 佑樹
それで…、三井さんはまだ来ないの?
西川 葵
うん。彩、部活のミーティングがあるみたいで……。
織田 佑樹
そうなんだ…。

すると西川さんは何か思いついたのか、ぱっと表情を明るくしてスマホを取り出した

西川 葵
佑樹くん、もう帰るよね?
織田 佑樹
うん、そのつもりだけど。

そう答えると西川さんは、スマホ画面に何やら打ち込み再び僕の方に向いた
西川 葵
一緒に帰らない?

女子からのお誘い


それは俺が最も苦手としているモノ

しかし西川さんからのお誘いは、何故か俺を高揚させた

全然嫌な気持ちにならなかったのだ、むしろ求めていたくらいに


だから俺は笑顔で頷いたさ

織田 佑樹
ああ、いいよ。

俺が笑顔で頷いた事に、ある意味ビックリしたのだろう

今迄俺は一人で帰っていたし、こういった誘いにも断ってきたから


西川さんは驚いた表情を一瞬見せて満面の笑みにすぐさま変えた


そして俺の隣に来て
西川 葵
じゃ、帰ろっか!

そう言った後、俺達は並んで歩き校門を出た

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