ピピピピピッッ
五月蝿い目覚まし時計が鳴り、朝が訪れたことを知らせる
バンッ!!
自覚するほど不機嫌な態度で荒く目覚ましを叩く
朝はいつもこうなのだ
リビングに向かい、朝ご飯を軽く作る
両親は海外で仕事をしていて、小さい頃からやっている事なので慣れたもんだ
食べ終わったら学校の支度をし、学校に向かう為玄関を出る
そして家の門を閉めようとした瞬間
葵と丁度鉢合わせした
こういう時って、一緒に学校に行った方がいいのだろうか……?
いやはや一人で登校することが大半だったから分からない
両者共に挨拶から先をなかなか言わず、少し気まずくなっていた
すると、いきなり葵の表情が明るくなり俺の後ろに向かって手を降り出した
彩?
えっと確か……
誰だっけと思いだそうとしていると、声の主は葵の隣にたどり着いていた
紹介された"三井彩"は小柄で髪の短い、いかにもスポーツ少女という感じだった
警戒してるのか少し……いやかなり睨まれているが気にしないでおこう
取り敢えず警戒心を取る為、笑顔で接することにした
警戒心は………とけなかったようだ………
ふと気が付くと、二人は喋りながら先に行ってしまった
仕方ない、ゆっくり行くとするか
別に一緒に学校に行こうとは約束していなかったし
そう思っていたのに
何故か
黒い気持ちが浮き上がる
"羨ましい"
"一緒に行きたい"
"そんな笑顔を他人に見せるな"
"俺だけを見て欲しい"
危ない
俺が俺でなくなりそうだった……
息を吸って吐いて
落ち着きを取り戻し、俺は再び学校へ向かった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。