朝
私は自分の席に座りイヤホンを付けてスマホから音楽を流し机に突っ伏す。
ザワザワ
なんか今日は廊下が騒がしい。
なんかあったのかな と思い 突っ伏しながら顔だけ廊下側に向けていると
ガラガラガラッ
半間「お♡ いたいた〜。オハヨあなたちゃん♡」
『え』
まじか
ほんとに同じ学校だった……
いや、待て。
他校からこの学校に乗り込んだ説あるぞ
『半間……いくらジュースが欲しいからって他校に乗り込んじゃダメだよ』
半間「ちげーわバァカ。見ろよこのせーふく」
間違いない。
この制服は間違いなくこの高校のだ
『まじかぁーーーーー負けちゃった』
半間「残念だったなぁ〜」
半間はそう言いながら私の隣の席へ座る
あれ、そこは違う男の子の席だったような。
ま、なんでもいいか
半間「まさか8組だったとはな」
『半間は何組なの?』
半間「2組」
『わざわざ別階に来てくれたんだ、お疲れ様です』
半間「階段降りるとき足やったわァ〜慰謝料8万な♡」
『……カルシウム足りてないんじゃない?今日はジュースじゃなくて牛乳奢ってあげるよ』
半間「マジレスするなよダリィ。つか俺が牛乳飲んだら身長2m越えっぞ♡」
『うわ、それは駄目だ』
半間「なんで」
『バスケする時、私が不利になる』
半間「バスケ馬鹿かよ」
『そうですけどなにかぁー??』
男「あ、あの…そ、こ俺の席……なんだけど…」
半間「そういや俺ネクタイしろって言われた」
『へぇー頑張れ』
半間「えーあなたチャンやってくんねぇーのーー?」
男「え、と…その……」
半間「あ"?なんか用?」
男「ヒッ……な、なんでもないです!」
『ネクタイくらい自分でやりなよ』
半間「ダリィ」
『でも私ネクタイ、人に結んだことない』
半間「ダリィ」
『…仕方ないな』
私は席を立って半間の目の前に立ちネクタイの両端を持つ
さて、どうだったっけ
『こっちがこうなって……あれ?こうか?』
半間「……」
『いやこっちがこれで……』
半間「…あなたちゃん」
『待てよ?ここがこうなってるから……』
半間「あなたちゃん」
『ん?なに?』
半間「めっちゃ苦しい。なにこれ、SMプレイ?♡すっげぇー首締めてくんじゃん」
『え、ごめん。ほんとだ笑』
半間「笑ってねぇーで早く解けって。マジで死ぬ」
『ごめんごめん』
なぜか固結びしてた。窒息死されるとこだった。
やっぱり正面からだとしにくいな…
『んーーーあ、そうだ』
自分がする目線ですればいいのか
『ごめん、こっちからやる』
私はそう言ってから半間の背後に立ってネクタイを結ぶ
半間「………」
『これが…こうか。いやこっちだったっけ』
半間「………」
『あ、ここか。そんでこれを重ねて…』
半間「………」
『こうだ、できた!どう?結構いい感じじゃない??』
半間「……おせぇ。もっかい」
『ちょ、なんでほどいちゃうの!』
半間「もっかい♡」
『……』
なぜほどいた……?
『え、待って。ばか綺麗にできた』
半間「…」
『あぁあああぁダメ!もうほどかないで!それすっごい綺麗にできたやつ!』
半間「無理♡ も・っ・か・い・♡」
『もうこれで8回目なんだってば!』
・
・
・
女「え…清水さん、あの不良の人と普通に話してるんだけど……」
女「まさか同じチーム入ってるってこと…?怖…!」
男「あの半間が笑ってるぞ……恐怖しかねぇーよ」
────────────────
半間「あ、俺 コーラがいい」
『仕方ない。約束は約束だ。買ってきてあげるよ』
半間「やりぃー。3分で買ってこいよ?♡」
『いやカップラーメンかい』
半間「どこツッコんでんだよ。ほーら、早く買ってこーい」
『はいはい』
私は席から立ち教室から出て自販機に向かった。
男「おいゴラ半間」
半間「…あ"?」
男「ツラ貸せや」
半間「オイオイ久々の登校だってのに喧嘩かよぉー♡勘弁してほしーわ♡……そんなに歯折られてぇなら買ってやってもいーぜ」
─────
───
─
半間said
顔も知らねぇー奴に呼び出されて教室を出た。
素直について行ってやる俺チョー優しいわ
つか俺相手に喧嘩売るとか上等じゃん♡
男「よくも俺の可愛い後輩 手ぇ出してくれたなぁ!」
男「この仮はきちんと返すぜ!!」
声のする方を見るとザッと20人はいる
気分よくしてたのにほんとダリィな
半間「びっくりしたぜぇー?こんなに俺に歯折られてぇ奴がいるなんてな♡そんなに死にてぇならお望み通り期待に答えてやるよっ!!」
男「余裕ぶっこいてんじゃねぇーぞ!!かかれお前らーっ!!」
チッ…うっぜぇ。
たかが1人相手にこんな人数で来るのかよ
マジでだりぃ。
男「抑えつけろ!!」
1人の男がそう言うと俺の足や腕や腰に体重をかけてきた。
くそ重ぇし汚ぇ
男「これで終わりだ半間ぁーーっ!!」
鉄パイプ……
やべ、避けれねぇ
バコンッッ
『お、当たった。ラッキー』
半間「マジか…」
あなたちゃんが投げたコーラは鉄パイプを持っていた男のこめかみにクリーンヒットして男が倒れた。
『買ってきたよ5本。1本 さっき投げちゃったから炭酸抜けてそう』
開けるの怖 と言いながら男の頭に当たったコーラを拾うあなたちゃん。
半間「ひゃは♡」
イカれてやがんな♡
ま、そのおかげで怪我せずに済んだけど
俺は体にへばりついてる奴らを肘で殴ったりして剥がす
半間「あなたちゃんコーラちょーだい」
『ん』
半間「それ投げたやつじゃん」
『それ怖い。半間が開けて。』
半間「ムリ。新しいのちょーだい」
『投げたやつも新しいっちゃ新しいんだけどなぁ。まぁ時間置いてから開けることにしよう』
半間「さんきゅー♡ つかなんでコーラ投げただけで人倒せんの」
『ペットボトルの蓋の角に当たるように投げたから』
半間「なにそれスゲ」
『こめかみって人間の急所なんだよ』
半間「へー。なんでそんなこと知ってんの?」
『テレビで見た。こめかみ殴ったら平衡感覚が麻痺するんだって』
半間「よく知ってんな」
『半間も知ってるでしょ?』
半間「俺?知らねぇーよ」
『みぞおち殴ってたじゃん。』
半間「あー鳩尾が殴ったら1発だから早ぇーんだよ」
『みぞおちは強い衝撃を受けたら横隔膜の動きが止まって呼吸困難になるんだって』
半間「難しー言葉使うな。なにいってっかわかんねーわ」
『…… If the diaphragm stops moving and becomes difficult to breathe when it receives a strong impact.』
半間「…………ほんとあなたちゃんだりぃ♡」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。