あれ…まだいる…
あれから数時間経つけれど、7番のテーブルにはイヤホンをつけたじんくんがまだパソコンとにらめっこをしている
YouTubeの編集かな…
テーブルには空になったコップ…
いつから空なのかな…
コップに冷たい水を入れてじんくんのところへ持っていく
集中してる…邪魔しちゃうかな?
イヤホンを外してじんくんが腕を伸ばす
じんくんが私の左耳にイヤホンをつけてくれた
じんくんは右耳にもう片方のイヤホンをつける
動画が始まって音も聞こえる
ここの色ってことだよね…
視線を画面からじんくんの顔へと移すと
顔の距離はイヤホンの左右て繋がっている長さしかない
近すぎて思わず私は目を逸らした
じんくんは、気にしてないの??
左耳のイヤホンをじんくんに返して私は店のカウンターに戻った
ふわっと香る甘い匂いに
整ったじんくんの顔が頭に残る
なんでこんなに…
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!