~あなた~
大切なお休みの日なのに、ずっとお家にいたね、って言ったら、
あなたがいてくれたからめっちゃ楽しかった、って。
・・・急に呼び捨てするの、やめて欲しい、
亜嵐くんのせいで寿命が縮みそうだもん。
午後6時半。
そこまで遠くはないけど、ここから私の家まで歩きで20分はかかる。
まさかまさか、ご飯まで一緒なんて。
嬉しいけど、罪悪感もある。
ううん、せっかく一緒にいるんだから気にしちゃダメだよね。
見ると、ほんとに空っぽ。
夜ご飯、簡単なのならできるかもしれないけど、やっぱり美味しいの作りたいな。
でも、お買い物は無理かも。
しょうがないかな、諦めよう。
で、またとびきり美味しいの作ってあげよう。
ほんとに簡単なのだけど、って前置きして、
広い広いキッチンに立つ。
・・・なんかわかんないけど、、緊張、
失礼しますってちっちゃい声で言ってから、再び冷蔵庫に手をかけた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。