第6話

気にしない
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2020/09/25 11:02


~あなた~



白濱亜嵐
白濱亜嵐
あなたちゃん? どうしたの?


携帯を片手に、ぼーっと立ってる私。
いつの間にかお風呂上がってた亜嵐くんに声をかけられる始末。


あなた

な、なんでもない、っ

白濱亜嵐
白濱亜嵐
そ?
あなた

うん、、




急いでキッチンに駆け込む。
何も考えないようにしながらご飯をよそって、綺麗なダイニングテーブルの上に置いた。



白濱亜嵐
白濱亜嵐
うわ、うまそ。
あなた

・・・前回よりは、、美味しい、はず、っ




普通を装いながらもいつもと違う私に、自分でも気づいてた。


白濱亜嵐
白濱亜嵐
・・・あなたちゃん? なんかあった?
あなた

・・・ううん、





ほんと、違和感しかないよ、
いつも通りにしようって思うほど、おかしくなっちゃう。


・・・別におかしいことなんてひとつもないのに。

亜嵐くんにお仕事が来て、
本来なら私は喜んで応援するべき。

なのに、、
私、彼女失格だなぁ。

どうしても嫌なの。
私じゃない人と、ぎゅーしたりちゅーしたり。


白濱亜嵐
白濱亜嵐
あなたっ?


呼び捨て、まだ慣れない。


・・・相手の人にも呼び捨てで呼ぶのかな。
そしたらきっと、その人もどきってするの。

嫌だ、嫌だよ、



白濱亜嵐
白濱亜嵐
あなた。


優しい声と共に、暖かな温もりに包まれた。


白濱亜嵐
白濱亜嵐
ちゃんと話して。

耳元で囁かれ、空気が変わった。



あなた

・・・・・・。

あなた

・・・亜嵐くん、、映画、、おめ、でとう、っ




なんとか絞り出した声。

亜嵐くん、一瞬だけ驚いた顔して、すぐに戻った。



白濱亜嵐
白濱亜嵐
ほんとのこと言って。
あなた

なに、言って、っ




途端に塞がれる唇。
触れるだけのキスだけど、私の気持ちを揺さぶるには十分。


あなた

・・・・・・いや、だよ、っ、

あなた

亜嵐く、っ、が、他の、人といるの、っ、



ぽろぽろ出てくる涙に、私も気持ちを抑えられなくなった。


あなた

応援しなきゃ、って、わかってるのに、っ

あなた

いやなの、っ、!




終わったな、
こんなめんどくさいやつ、いらないよね。

ただ好きなのに、、大好きなのに、



自分が嫌いだよっ、
もう苦しいよ、っ


・・・助けて、、

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