~あなた~
携帯を片手に、ぼーっと立ってる私。
いつの間にかお風呂上がってた亜嵐くんに声をかけられる始末。
急いでキッチンに駆け込む。
何も考えないようにしながらご飯をよそって、綺麗なダイニングテーブルの上に置いた。
普通を装いながらもいつもと違う私に、自分でも気づいてた。
ほんと、違和感しかないよ、
いつも通りにしようって思うほど、おかしくなっちゃう。
・・・別におかしいことなんてひとつもないのに。
亜嵐くんにお仕事が来て、
本来なら私は喜んで応援するべき。
なのに、、
私、彼女失格だなぁ。
どうしても嫌なの。
私じゃない人と、ぎゅーしたりちゅーしたり。
呼び捨て、まだ慣れない。
・・・相手の人にも呼び捨てで呼ぶのかな。
そしたらきっと、その人もどきってするの。
嫌だ、嫌だよ、
優しい声と共に、暖かな温もりに包まれた。
耳元で囁かれ、空気が変わった。
なんとか絞り出した声。
亜嵐くん、一瞬だけ驚いた顔して、すぐに戻った。
途端に塞がれる唇。
触れるだけのキスだけど、私の気持ちを揺さぶるには十分。
ぽろぽろ出てくる涙に、私も気持ちを抑えられなくなった。
終わったな、
こんなめんどくさいやつ、いらないよね。
ただ好きなのに、、大好きなのに、
自分が嫌いだよっ、
もう苦しいよ、っ
・・・助けて、、
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。