~あなた~
ふふ、
ふふふ、
・・・これ、周りから見たら絶対おかしい人だなぁ。
わかっているのに、どうしてもにやついてしまう。
ある日曜日の夕方。
亜嵐くんにお家に誘われて、私は玄関のドアの前にいた。
右手には、このドアを開けられる鍵。
・・・・・・あいかぎ、、
一昨日で3ヶ月を迎えた私たち。
亜嵐くんが予約してくれたレストランでお祝いしてたら、プレゼントってくれたの。
嬉しいっていうのと同じくらい心配なこともあるけど、やっぱり嬉しいの方が勝っちゃう。
ふー、って息をついてから、ゆっくりゆっくり鍵を差し込む。
ガチャってあいて、また感動。
まだ亜嵐くんは帰ってきてないから、ご飯作って待ってよう。
9時には帰るって言ってたもん。この前のリベンジだ。
何回か来たこのお家だけど全然慣れない。
しっかり鍵を閉めてから、端っこに荷物を置かせてもらった。
・・・ちゃんとお買い物してきたし、大丈夫。
ご飯を作り始めて1時間。
考え事しながら作ってたら、作りすぎちゃった。
冷凍して、忙しい時に食べれるようにしよう。
・・・あと1時間以上ある、、
結局、お掃除したり、テレビ見たり、画面の中の亜嵐くん眺めたりしてた。
、
ドアが開く音がした。
帰ってきた、亜嵐くん帰ってきたっ!
ダッシュで玄関に向かって、靴を脱いでる途中の亜嵐くんに抱きついた。
ちょっと笑いながら、ぎゅって抱き締め返してくれた。
自分が頼んだのに、こうやっていうの、大好き。
そんなことないけどなぁって思いながら、そっと体を離した。
お風呂に駆け込む亜嵐くんを見送ると、私の携帯がなった。
玲於 「亜嵐くん恋愛映画決まったけど気にしないでね。」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。