第6話

紫色の傘
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2018/02/19 10:51

そういえば昔廉と約束をした
なんの約束だったかまでは覚えてないけど小さな公園で雨の日に

廉 : 指切りげーんまーん

あなた : 嘘ついたら針千本のーますっ

2人 : 指切ったっ!

なんの約束だったっけ
ねぇ廉。なんでいまあなたは泣きそうなの?
なんで私の手を引いてるの?

なんで___________

いつもと違う目で私をみるの?

さっきまで私は紫耀くんと教室にいた
いまは廉に手を引かれて玄関の方へ早歩きで向かってる

あなた : 廉? なぁ、なんかあったん?

恐る恐る聞いてみると「うるさい」とだけ返されてそのまま歩き続ける廉
もちろん手を引かれてるわけだから私も廉についていくしかなくて
結局傘は教室に置いたまま
私たちは濡れながら帰る羽目になった

家を扉を開け、中に入ると雨の音が少し遠ざかった気がした
雨は嫌いだけど音を聞くとなぜか落ち着く

廉 : お姉、さっき紫耀となにしてたん…

ぴちょん、と廉の髪の毛から水が滴り落ちる
後で廊下拭かないとなぁ…なんて思いながらも廉の問いかけに口を開いた

あなた : 廉が来るの一緒に待ってただけなんやけど?

あまりにも責任感のない廉の行動に少しイライラして返しがキツくなる
廉は一瞬たじろいだ後、私の方を見て「約束、覚えてないん?」とこぼした





"覚えている"

"覚えていない"

この2択しかない。
覚えているといえばきっとこの関係は崩れてしまう
覚えていないといえばこの関係のまま。

私は…

答えを誤った

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