第4話

黄色の傘
7
2018/02/18 16:11

2時限目の途中からぽつりぽつりと降りはじめる雨を窓越しに見つめる

あなた : 玄樹くん…

ぼそり、と呟いてはみるけど返事が来るはずもない
岩橋玄樹くん。私が小学生の時に仲の良かった男の子

ある雨の日に…私を庇って事故にあった
梅雨の肌寒い日だった
目の前が真っ赤になって頬を雨か涙が伝う

玄樹 : あなた…ちゃ、無事…で、よか…た、

今にも消えそうな浅い息を繰り返しながらも私のことを心配そうに見つめるその瞳が今も私の頭から離れない

今も彼は病院のベッドで独りぼっち

上から降って来た水滴が開いたままのノートを濡らす
その水滴は雨ではなく私の涙だった

紫耀 : あなたちゃん大丈夫…?

私が泣いているのに気づいた平野くんが先生にバレないようにこそっ、と声をかけてくれる

あなた : だ、大丈夫っ!なんか疲れてたみたいやわ

微笑みながら小声で返すと平野くんも「よかった、」と微笑み返してくれた
その後もちらちらとこちらを心配そうにみる平野くんはよっぽど心配性なんだろう

健人 : じゃあ次のページ予習しとけよー

という中島先生の一言で3時限目は終了した



雨が降り始めてから30分後の出来事だった

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