第12話

人間捜しゲーム 8 悲
1,493
2022/09/25 03:30
宮口 梨奈視点




私たちは、ずっと蹲って泣き続けてしまった。仲間が死んでしまったことが、受け入れられなかった。



どうしてこんなゲームに参加させられたのか。何が目的なのか。頭がこんがらがって、何もわからない。



…日頃の行いが悪いからなのかな。
佐藤 優雨美
佐藤 優雨美
…泣いてちゃダメだよね…
宮口 梨奈
宮口 梨奈
佐藤 優雨美
佐藤 優雨美
梨奈、他のみんなも探しに行こう?
宮口 梨奈
宮口 梨奈
そう、だね
宮口 梨奈
宮口 梨奈
泣いてたら、修也君悲しんじゃうよね
佐藤 優雨美
佐藤 優雨美
うん…!早く探して、学校から出よう!
宮口 梨奈
宮口 梨奈
…うん!
優雨美は立ち上がって、私に手を差し伸べてくれた。私はその手をギュっと握り、立ち上がった。




絶対、みんなを助けなきゃ。
佐藤 優雨美
佐藤 優雨美
4階ってどれぐらい探した?
宮口 梨奈
宮口 梨奈
階段上がった直後に下で音がしたから、全然探してないんだよね…
佐藤 優雨美
佐藤 優雨美
そっか…手分けして探す?
宮口 梨奈
宮口 梨奈
そうだね…!私、また4階探すよ
佐藤 優雨美
佐藤 優雨美
じゃあ、私は2階探してくるね
宮口 梨奈
宮口 梨奈
気をつけてね
佐藤 優雨美
佐藤 優雨美
心配しないでいいよっ!
鬼に見つかったら、とりあえず下の階に逃げるね!
宮口 梨奈
宮口 梨奈
私もそうする!
佐藤 優雨美
佐藤 優雨美
じゃ!またあとで!
と、その時。




ピピピピッピピピピッピピピピッ…腕につけてあるタイマーが鳴ってしまった。
佐藤 優雨美
佐藤 優雨美
っ!音できるだけ小さくしないと!
優雨美が必死で私の腕を抑えた。
宮口 梨奈
宮口 梨奈
ありがとう、優雨美…
1分ほど経って、タイマーの音は鳴り終わった。
宮口 梨奈
宮口 梨奈
でも、もう15分以上経ってたはずなのに…
佐藤 優雨美
佐藤 優雨美
鬼が1人死んだから、時間が増えたんじゃないのかな
宮口 梨奈
宮口 梨奈
ならいいや!さて、早く探さないと!
佐藤 優雨美
佐藤 優雨美
そだね!私、行ってくる!バイバイ!
宮口 梨奈
宮口 梨奈
バイバイ!

優雨美が2階へ降りていった。
宮口 梨奈
宮口 梨奈
さて…ここからは1人だから、頑張らないと!

~4階~



4階は、1,2,3階の教室と比べると、比較的少ない。
宮口 梨奈
宮口 梨奈
(これなら1人でも探せるはず…!)
宮口 梨奈
宮口 梨奈
まずは…A組から
4階ではA組、B組、のようにアルファベットになっている。




~A組~
宮口 梨奈
宮口 梨奈
(入ったことないな…)
電気をつけようと手を伸ばすが、今は4時頃。まだそこまで明るくはない。



だから明かりでバレてしまうと思ったため、つけることはできなかった。
宮口 梨奈
宮口 梨奈
あっ、そういえば…
宮口 梨奈
宮口 梨奈
プールで懐中電灯見つけたんだっけ…
水色の懐中電灯。やっぱりどこかで見たことある。記憶が曖昧だから思い出せない…
宮口 梨奈
宮口 梨奈
これ使お
宮口 梨奈
宮口 梨奈
よし、探さなきゃ!
もしかしたら、懐中電灯みたいにアイテムが隠されているかもしれない。隅々まで探そう。
宮口 梨奈
宮口 梨奈
まずロッカーから探そ









全てのロッカーを調べ尽くしたが、何もなかった。
宮口 梨奈
宮口 梨奈
何もなしか…
宮口 梨奈
宮口 梨奈
えーっと、次は机の中、机の中…
宮口 梨奈
宮口 梨奈
……ん?
出席番号19番の机の中から、1枚の紙が出てきた。内容には…





裏切った。





とだけ書かれていた。
宮口 梨奈
宮口 梨奈
裏切った…?
宮口 梨奈
宮口 梨奈
なんのことだろ…
私は、人生で誰かを裏切ったことなんてないはず。



この紙は誰に向けて言っているんだろう…?まず、誰が書いたんだろう…?
宮口 梨奈
宮口 梨奈
うーん…一応持ってようかな
私は紙をポケットに折りたたんでしまい、再び教室内を探し回った。





A組…B組…C組…D組……そして、最後にE組を探した。
宮口 梨奈
宮口 梨奈
(…今のところ、収穫はあの紙だけか…)
4階の教室には誰もいないのか…
宮口 梨奈
宮口 梨奈
はあ…
私は教卓に肘をつき、ため息をついた。



足音もなくなり、静かな教室の窓から、沈みかけている月の光が差し込む。
宮口 梨奈
宮口 梨奈
…ん?あれ?
窓の下の少し大きめの隙間に、引き戸がつけられていた。



あんなもの、他の教室にはなかったのに。なぜE組だけにあるんだろう。
宮口 梨奈
宮口 梨奈
開けてみようかな
少し気になりはじめてしまったので、開けることにした。



スーー…



引き戸の音だけが教室に響き渡った。
宮口 梨奈
宮口 梨奈
えっ…
そこには…
宮口 梨奈
宮口 梨奈
ひ、広中…輝人、くん…?
驚きでいっぱいだった。



しかし、とても窮屈そうだった。早くここから出してあげないと…



私は輝人君の紐を解き、窮屈なところから出してあげた。







宮口 梨奈
宮口 梨奈
よいしょ…
宮口 梨奈
宮口 梨奈
輝人君!起きて!
必死で輝人君の肩を揺らした。
宮口 梨奈
宮口 梨奈
起きてっ!
広中 輝人
広中 輝人
うっ…うーん…
広中 輝人
広中 輝人
っ!え、ここどこ!?
宮口 梨奈
宮口 梨奈
学校だよ…
広中 輝人
広中 輝人
なんで夜の学校にいるんだよ?!
宮口 梨奈
宮口 梨奈
…それが…
私は涙を抑えながら、このゲームの内容と、今までにあったことを全て話した。



途中では涙が溢れてしまった。
宮口 梨奈
宮口 梨奈
こんなことがあったの…
広中 輝人
広中 輝人
修也…
広中 輝人
広中 輝人
いいヤツだったのにな…
宮口 梨奈
宮口 梨奈
私たちを助けてくれたの…
広中 輝人
広中 輝人
ははっ…アイツ、たまにはカッコいいことするじゃねぇか…w
輝人君が笑っているはずがなかった。無理に笑顔を作っているだけ。



本当は悔しいほど泣きたい気持ちだと思う。だって、輝人君は修也君が大切な親友だから…
広中 輝人
広中 輝人
こんなことしてる時間がもったいないよな…!
早く、竜探しに行こうぜ…!
宮口 梨奈
宮口 梨奈
輝人君…
広中 輝人
広中 輝人
ん?どした?
宮口 梨奈
宮口 梨奈
我慢、しなくていいんだよ…?
広中 輝人
広中 輝人
我慢って、何のこと…?w
宮口 梨奈
宮口 梨奈
無理に笑わなくてもいいよ。泣いてもいいんだよ。
広中 輝人
広中 輝人
輝人君は、私から見えないように泣いていた。
広中 輝人
広中 輝人
…も、もう大丈夫だよ…!早く行くぞ…!
宮口 梨奈
宮口 梨奈
う、うん…
本当にもう大丈夫なのかな。



心の中がモヤモヤしつつも、私たちは教室から出て3階へ向かうことにした。



一瞬だけ見えてしまった、輝人君の泣き顔。…私、輝人君の悲しむ顔を見たくなかった。



どうして修也君が死んじゃうの…

























私が死んだらよかった_____

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