宮口 梨奈視点
私たちは、ずっと蹲って泣き続けてしまった。仲間が死んでしまったことが、受け入れられなかった。
どうしてこんなゲームに参加させられたのか。何が目的なのか。頭がこんがらがって、何もわからない。
…日頃の行いが悪いからなのかな。
優雨美は立ち上がって、私に手を差し伸べてくれた。私はその手をギュっと握り、立ち上がった。
絶対、みんなを助けなきゃ。
と、その時。
ピピピピッピピピピッピピピピッ…腕につけてあるタイマーが鳴ってしまった。
優雨美が必死で私の腕を抑えた。
1分ほど経って、タイマーの音は鳴り終わった。
優雨美が2階へ降りていった。
~4階~
4階は、1,2,3階の教室と比べると、比較的少ない。
4階ではA組、B組、のようにアルファベットになっている。
~A組~
電気をつけようと手を伸ばすが、今は4時頃。まだそこまで明るくはない。
だから明かりでバレてしまうと思ったため、つけることはできなかった。
水色の懐中電灯。やっぱりどこかで見たことある。記憶が曖昧だから思い出せない…
もしかしたら、懐中電灯みたいにアイテムが隠されているかもしれない。隅々まで探そう。
全てのロッカーを調べ尽くしたが、何もなかった。
出席番号19番の机の中から、1枚の紙が出てきた。内容には…
裏切った。
とだけ書かれていた。
私は、人生で誰かを裏切ったことなんてないはず。
この紙は誰に向けて言っているんだろう…?まず、誰が書いたんだろう…?
私は紙をポケットに折りたたんでしまい、再び教室内を探し回った。
A組…B組…C組…D組……そして、最後にE組を探した。
4階の教室には誰もいないのか…
私は教卓に肘をつき、ため息をついた。
足音もなくなり、静かな教室の窓から、沈みかけている月の光が差し込む。
窓の下の少し大きめの隙間に、引き戸がつけられていた。
あんなもの、他の教室にはなかったのに。なぜE組だけにあるんだろう。
少し気になりはじめてしまったので、開けることにした。
スーー…
引き戸の音だけが教室に響き渡った。
そこには…
驚きでいっぱいだった。
しかし、とても窮屈そうだった。早くここから出してあげないと…
私は輝人君の紐を解き、窮屈なところから出してあげた。
必死で輝人君の肩を揺らした。
私は涙を抑えながら、このゲームの内容と、今までにあったことを全て話した。
途中では涙が溢れてしまった。
輝人君が笑っているはずがなかった。無理に笑顔を作っているだけ。
本当は悔しいほど泣きたい気持ちだと思う。だって、輝人君は修也君が大切な親友だから…
輝人君は、私から見えないように泣いていた。
本当にもう大丈夫なのかな。
心の中がモヤモヤしつつも、私たちは教室から出て3階へ向かうことにした。
一瞬だけ見えてしまった、輝人君の泣き顔。…私、輝人君の悲しむ顔を見たくなかった。
どうして修也君が死んじゃうの…
私が死んだらよかった_____
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。