私はビルが並ぶ街をぶらぶらとあてもなく歩く。
病室から一刻も早く出たく、ここまで逃げてきた。
結構、幽霊というものは移動が早く、部屋やドアなんて通り抜けることが可能であった。
街を歩く人々は誰も私のことなんて見ようともしない。
だって…。存在しないんだもん。
幽霊でもお腹が空く。初めて知った。
幽霊でも眠くなり、睡眠が必要となる。初めて知った。
幽霊になってから、勉強だけでは知ることができないことに気づける。
でも。辛いことばかり。
いつも通りのことが今は
できない。
私は人間より速い速度で公園へ移動すると、ベンチへ移動した。
やっと一息つける場所。私は一旦心を落ち着かせる。
ところどころ見ると、結構手の先は足の先がすけている。
もう、頭の中はぐちゃぐちゃになっていた。
死と罪。あいつが突っ込んで来なければ…。死んじゃった…。
この気持ちのループ。もう何が何だかわからない。
すると、
一筋の涙をこぼしていた。
私は腕で拭き取る。
私は、膝を抱えベンチへ横たわる。
私が寝ようとしている頃……。
と1人でつぶやく1人の男の人が公園に訪れていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。