第70話

だい。ななじゅうにわ
339
2020/06/02 10:00
あんな出来事から何日か経ったとある日ーーーーーーー。
あなた

う〜ん…!いい天気だな〜…。

大きく伸びをする私。
今日は何故か早く目覚めたため、せっかくだからと朝日を浴びようとベランダにやってきたのだ。
あなた

こんなに早く起きたの初めて…。

まだ朝日が出てすぐに起きた私。
下の道路を覗くと、走っている人や犬の散歩をしている人がいるくらいだ。
あなた

………だいぶ…早く起きちゃった…のかな?

えへへと頭を掻く私。
私はベランダの手すりに手をかけて、はぁっとため息をついてから自分に言い聞かせるようにこう呟いた。
あなた

………結局…凌はファイアと一緒に……。

少し自分が想像した地獄の様子が浮かび上がる。恐怖のあまりに首を横に振って吹き飛ばそうとする。
あなた

やっぱり……凌には悪いことをしたことは変わらない…。

あなた

でも…なんとなくファイアが全部なんとかしてしまいそうだけどっ…!

ふふっと笑みがこぼれる私。
あなた

………私の……残された…時間…か…。

私は恐る恐る自分の両手を見つめる。
そこには、自分の手が前より薄くなっている時とがあからさまにわかった。
あなた

もう……少ないのかな…。

自分でもわかることだった。誰が見たってわかる。こんなに薄くなるなんて……。
あなた

(みんなにばれちゃダメだ……!)

私はみんなに手を見せないように心がけることにした。
あなた

でも……消える前に……。

私はふと思いついたことを口にする。
そっと下の道路を見つめる。誰が見ても穏やかな日常が広がっている。
しかし、私が考えていることは残酷だった。
あなた

………消える前に……ここから落ちてもいいかな…?

私はハッとする。自分で何をいっているんだろうと下を見るのをやめる。
あなた

………何いってるんだろ…。寝ぼけているのかな?

すしらーめんりく
すしらーめんりく
あなたちゃん…?
あなた

えっ…!?

名前を呼ばれたような気がして後ろを振り向くとりくくんがハッとした顔で立っていた。
あなた

おはよう!早いね!

すしらーめんりく
すしらーめんりく
う、うん……。
いつも違うような気がする。でも……さっきの話は聞いていないはず。
あなた

どうしたの?私に…何か用かな?

すしらーめんりく
すしらーめんりく
あ!あのね〜……。
またいつもの彼に戻る。さっきのは気のせいだったようだ。
彼はそっと私の耳元に口を近づけた。
すしらーめんりく
すしらーめんりく
今からいたずらしようと思ってるんだけど……来る?
あなた

……いたずら…!行く!!

私は先ほどの考えを忘れようと彼の意見に乗った。
すしらーめんりく
すしらーめんりく
オッケー!ついてきて!
あなた

うん!

私は先ほどの考えを……自分の過ちだと忘れようとした。

しかし、彼は彼女に危険が迫っているのではと考えてしまっていた。

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