第48話

だい。よんじゅういちわ
582
2019/12/26 11:30
私の体が透けていく。
エイジ
エイジ
………あなた!
あ……。エイジの声だ。
エイジ
エイジ
今すぐ戻ってこい!
ごめん。無理だな。
そらちぃ
そらちぃ
あなた!……お願いだ…!
そら……?
2人に頼まれているのにな。透けていくの止まらないや
エイジ
エイジ
あなた!俺の手掴め!!
……掴む?
エイジの手を?
無理。
私は
必要ない存在なのだから。
存在しない「モノ」なんだから。
ね?
私なんか放っておいてよ。
エイジ
エイジ
なぁ……。あなた……。
………なに。
エイジ
エイジ
ふざけんなよ。
ごめんなさい。
エイジ
エイジ
お前が勝手にこの家に上がり込んできて……!
エイジ
エイジ
シルクにお前を見るためだけにシール貼られて……!
エイジ
エイジ
おでこ、かぶれたんだぞ…!
……なにそれ。
私のせいだ。私が来たから。……ごめんなさい。
エイジ
エイジ
勝手に上がり込んでくるやら、かぶれるやらで……
エイジ
エイジ
お前のせいで迷惑だよ…!
ごめんなさい。自分勝手でごめんなさい。
エイジ
エイジ
そんなことしておいて!
エイジ
エイジ
勝手にいなくなるなよ!
エイジ
エイジ
お前に償ってもらわなきゃいけないことたくさんあるんだよ!!
……なにそれ。エイジらしいな。

















私がいていいの?
あなた

……エイジ?

エイジ
エイジ
ん…?なんだ?
あんなこと言ってた割には声はとても優しかった。
あなた

……私は……いていいんですか……?

あなた

この家にっ……いて……いいんですかっ………!

泣きじゃくりながらそうたずねると
エイジ
エイジ
当たり前だろ。ばーか。
エイジ
エイジ
お前は俺にとって必要な存在なんだからな。
なんだよ、それ。理由になってないじゃん。





























でも。そういう言葉はこういう時。安心するんだよね。
あなた

…………ありがとう。

ふっと私が目を閉じると私の体は元の透けた体に戻っていく。
そっと、エイジは涙を流しながら目を閉じている私の体を両手で抱きかかえる。
エイジ
エイジ
………ばーか。
エイジ
エイジ
なんで泣いてるんだよ。
そっとエイジは私の頭を優しく撫でる。
そらちぃ
そらちぃ
………ごめんね。エイちゃん。
そらが私の寝顔を見ながらぽつりと呟いた。
エイジ
エイジ
………俺も言いすぎた。ごめんな。
エイジもぽつりと呟く。………2人の中に静かな静寂な時間が流れる。
そらちぃ
そらちぃ
………エイちゃん。あなたはどうするの?
エイジ
エイジ
そのまま寝かせておこう。
エイジはまじまじとあなたを見つめる。
エイジ
エイジ
…………今はぐっすりと休め。
エイジ
エイジ
大丈夫だ。あなたには俺たちがいるだろ。
そらちぃ
そらちぃ
そうだね。
あなたは2人の会話を聞くことなく、静かに目を閉じているのであった。

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