私の体が透けていく。
あ……。エイジの声だ。
ごめん。無理だな。
そら……?
2人に頼まれているのにな。透けていくの止まらないや
……掴む?
エイジの手を?
無理。
私は
必要ない存在なのだから。
存在しない「モノ」なんだから。
ね?
私なんか放っておいてよ。
………なに。
ごめんなさい。
……なにそれ。
私のせいだ。私が来たから。……ごめんなさい。
ごめんなさい。自分勝手でごめんなさい。
……なにそれ。エイジらしいな。
私がいていいの?
あんなこと言ってた割には声はとても優しかった。
泣きじゃくりながらそうたずねると
なんだよ、それ。理由になってないじゃん。
でも。そういう言葉はこういう時。安心するんだよね。
ふっと私が目を閉じると私の体は元の透けた体に戻っていく。
そっと、エイジは涙を流しながら目を閉じている私の体を両手で抱きかかえる。
そっとエイジは私の頭を優しく撫でる。
そらが私の寝顔を見ながらぽつりと呟いた。
エイジもぽつりと呟く。………2人の中に静かな静寂な時間が流れる。
エイジはまじまじとあなたを見つめる。
あなたは2人の会話を聞くことなく、静かに目を閉じているのであった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。