第24話

変わらない
792
2023/11/16 09:00


「なあ、お昼一緒に食べん?」






女の子たちと話し終えた孝二がそう言ってきた。







『え、いいの? 友達とかは?』

「あいつらとはいつでも食えるし。あなたのが大事やろ。」







その言葉を聞いた瞬間に綻びそうになる顔をガッと抑える。

嬉しいとか思ってんじゃないよ!私の阿呆!


孝二はひとまず弁当を持ってくると、私の席を使って向かい合うように座った。 私もそれに合わせて腰を下ろす。







「懐かしいなぁ。中学の頃もこうやって一緒に弁当食ってたやろ。」


『給食無かったもんね。』


「せやな。あん時は楽しかったわ。」







そう語る孝二の目はどこか遠くを見ているようだった。


中学生のあの時。

私たちは根拠もなく、自分たちはずっと一緒に居るのだと信じていた。
私たちは無敵なんだって本気でそう思ってた。

それは大人からしたら「馬鹿げてる」と一蹴される夢物語なのだろう。
だって、「ずっと」も「絶対」もこの世では存在し得ないまやかしだから。


あの時の私たちは子供で何も知らなかった。 ただそれだけだった。


____だというのに。






「俺な、またあなたとこうして一緒に居れて嬉しいわ。」






どうしてか再会したこの男と、私はお昼を食べている。


私は先ほど私たちの関係を“腐れ縁”と表現したが、案外それは間違っていない……いや、もはや最適解なのではないだろうか。

切りたくても切れない縁、ね。 ぴったりな言葉じゃないか。


弁当の角で陳列された卵焼きに箸を付ける。

お砂糖によって甘めに仕上げられたその味付けは、中学の頃からずっと変わることはなかった。





…next

プリ小説オーディオドラマ