第28話

烏滸がましくも
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2023/12/27 09:00


「ちわーす!……ってあれ?出水は?」






黒髪をカチューシャで上げた男の人が元気よく立ち入ってくる。
国近さんはそんな彼に「そろそろ戻って来ると思うよ」とだけ伝えた。


国近さんの言葉に頷いた彼はここで出水くんを待つつもりなのか、私の隣に腰を下ろした。







「お前は確か転入生だよな? 俺、同じクラスだぞ。」

『えっほんと?』

「気付いてないかー!まぁ席離れてたしな。」







でもそういえば、教室で楽しそうに話す輪の中に彼らしき人が居た気がする。


が、やはり名前は思い出せないので、改めて名乗ってもらうことにした。







「米屋陽介。陽介の陽は陽気の陽、な。」


『あなたの名字あなたです。よろしくね。』


「おぉ。 クラスメートとしてもボーダー隊員としてもよろしくな。」







そうか。米屋くんもボーダー隊員なのか。


思ったけれどボーダー隊員というのは案外至る所に居るのかもしれない。 現に学校に来てから結構の人数と遭遇してる気が……。

というより、ボーダーの人は必然的にボーダーの人と絡む風習みたいなのがあるのかもな。 咄嗟の情報共有等をスムーズに行うためにも日頃の環境は大切だ。


私ももっとボーダーの人との交流を増やしたいな……など、烏滸がましくも考えてしまうのは許してほしい。


そんなこんなで箱マスクを大量に抱えた出水くんが帰ってきた。
どうやら米屋くんの出水への用事というのは、防衛任務の担当場所の変更の連絡だったらしい。

それらを伝達し終えると、丁度いいので皆で学校を出て目的地へ向かうことになった。







「陽介たちの担当場所、ウチと近いな。」


「まあここ最近隊員がめちゃくちゃ駆り出されてるらしいし? 近くなることもあるだろ。」


『大変ですね…イレギュラーゲート…』


「だね〜。早く収まるといいんだけど。」







まあ基本的にはボーダーのエンジニアは優秀であり、原因もそのうち突き止めるだろう、というスタンスらしい。

上への信頼度故の余裕というわけだ。何だかかっこいい。


暫くして、警戒区域外のポイントから私たちは別れた。
国近さんは本部へ、米屋くんは自分の隊のポイントへ、私と出水くんも太刀川さん達の所へ。


出水くんはマップを見ながらスイスイ進んでいく。私もそれに着いていっていると、ようやく目的地が見えてきた。

というより、“目的の人物”と言った方が正しいか。






「おー、出水にあなた。」






楽しげに手を振るのは、ソロランク戦でお馴染み太刀川さんだ。

私と出水くんは顔を見合わせ、2人して彼の元へ駆け寄っていった。





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