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第10話

頼れる相手……?
時間の許す限り、私たちは他の学生にもコンタクトを試みたけれど、やはり誰も景久について詳しくは知らない。


景久が本来なら私と同い年で、何らかの理由があって休学しているということだけ掴めたが、それ以上は情報が集まらなかった。
八森 朝陽
八森 朝陽
今日はここまでにしよう。
優木くんには、今日のことを話すときに、他に覚えていることがないか聞いてみて
笹良 直
笹良 直
はい。
本当にありがとうございました
八森 朝陽
八森 朝陽
じゃあ、また夜にバイトで

私たちが解散しようとしたところに、ふと、音もないのに人の気配が近づいてきた。
優木 景久
優木 景久
あ、直
笹良 直
笹良 直
えっ、景久!?
なんでまた、ここに?
優木 景久
優木 景久
いや、なんとなくなんだけど……。
ひとりでアパートにいるのが退屈になってきて、直の大学でも見てみるかーと思ってさ。
今まではなんとも思わなかったのに
笹良 直
笹良 直
それでまた気配を追ってきたんだね。
びっくりした……
優木 景久
優木 景久
ごめん。
一通り見たら帰るから

景久は悪気のない笑顔で謝りながら、朝陽先輩がまだ近くにいることに気付いた。
優木 景久
優木 景久
あれっ?
直、俺が見えてること、言っていいの?
ってか、この人、昨夜の本屋にいた……
八森 朝陽
八森 朝陽
そうだよ。
よろしく、優木景久くん

先輩はにっこりと笑って、景久に話しかける。


景久は突然のことに動揺したらしく、私たちを驚きの表情で見つめた。
優木 景久
優木 景久
えっ!?
この人も俺が見えるの!?
笹良 直
笹良 直
そうだよ。
信頼できる人だから、安心して?

私が頷くと、数秒かけて、景久は落ち着きを取り戻していった。
優木 景久
優木 景久
なんだ……。
直にもそういう……、ちゃんと頼れる相手がいたのか。
ほっとした
笹良 直
笹良 直
あはは。
そんな、人を孤独みたいに言わないでよ
優木 景久
優木 景久
うん……ごめん

私が冗談っぽく反応してみせると、景久は言葉とは裏腹に、寂しそうな表情を見せる。
笹良 直
笹良 直
(あれ……?
どうしたんだろう)

予鈴が鳴り、午後の講義のために私と朝陽先輩はそこで別れた。


景久は、私の隣を歩いて、構内をキョロキョロと見回している。


そうして、互いにしばらく黙っていたのだけれど、先に口を開いたのは景久だった。
優木 景久
優木 景久
あのさ、直。
夜は俺じゃなくて、あの八森って人に送り迎えしてもらったほうが、安心かもな……。
俺、頼んでこようか?
笹良 直
笹良 直
えっ!

なぜ、今になってそんなことを言うのだろう。


私は両頬を膨らませた。
笹良 直
笹良 直
それ、さっき朝陽先輩にも言われたけど、断ったのに……。
景久がせっかく言ってくれて、嬉しかったから……

駄々をこねる子どものように私が拗ねた声を出すと、景久はうろたえた。
優木 景久
優木 景久
え、断ったの!?
でも付き合ってるんだろ?
そういう雰囲気に見えたけど……
笹良 直
笹良 直
つ、付き合ってないし!

先輩との仲は良い方かもしれないが、付き合うなんてそんなのは夢のまた夢だ。


照れ隠しに大声を出して否定したので、通りすがりの学生たちに驚愕の目で見られてしまった。


【第11話へ続く】