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第8話

もうひとりの〝見える〟人
笹良 直
笹良 直
えっと、優木、景久……っと

大学に出てきた私は、次の講義を待つ間、情報処理室でパソコンを触っていた。


自宅にはパソコンがないので、レポートの作成はいつもここでしている。


ただ、今は景久の情報を集めるために、インターネットで検索中だ。


もしも事故に遭ったなどであれば、景久の名前が載った記事がヒットするかもしれない。
笹良 直
笹良 直
(ん? これは、名前は同じだけど別人だな。
中学生だし)

同姓同名のSNSアカウントもいくつかヒットしたが、景久はそういうのはやっていなかったはずだと言うし、本人らしきものは見当たらない。
笹良 直
笹良 直
うーん……?

この情報化社会ならば、インターネット上で何かしらヒントが見つかるだろうと思っていた私は、頭を抱えた。
笹良 直
笹良 直
(いきなり詰んだ……。
ごめん、景久)
八森 朝陽
八森 朝陽
あれ、どうしたの?

心の中で景久に謝り、がっくりしていると、背後から聞き覚えのある声がした。


振り返ると、予想通り朝陽先輩だった。
笹良 直
笹良 直
あ、先輩……!
昨日はすみませんでした

椅子から立ち上がり、昨夜の無礼を詫びる。


先輩は笑って、すぐに許してくれた。
八森 朝陽
八森 朝陽
全然気にしてないよ。
無事に帰れてよかった。
僕はレポートの印刷に来たんだけど、笹良さんは何か困り事?
笹良 直
笹良 直
あー……えっと。
実は、知り合いに頼まれて、ある人が亡くなった原因を探してて……
八森 朝陽
八森 朝陽
ある人が亡くなった原因?

うまいこと濁すように答えたつもりだったが、先輩は怪訝けげんそうな表情を浮かべる。
笹良 直
笹良 直
(そりゃそうだよ……!
人が亡くなった原因を調べるってよっぽどだもん!)

そんなものを調べてどうするのかと突っ込まれるのを、私は覚悟していた。


どうにかこの場を切り抜けるための言い訳を考えていると、先輩はパソコンのモニターをじっと見た。


そこには、景久の名前が入力されたままだ。
笹良 直
笹良 直
(やばっ……)
八森 朝陽
八森 朝陽
もしかして、その『ある人』って、昨夜店の前に迎えに来てた人?

私がモニターを手で隠そうとしていると、先輩はそう聞いてきた。


とても理解が早いな、と驚きつつ、私は頷く。
笹良 直
笹良 直
はい、その人で……。
……えっ!?

私は息を呑んで、飛び上がりそうになった。


なぜ、朝陽先輩にも、景久の姿が見えているのか。


先輩はやんわりと笑って、落ち着いた様子でデスクの上に鞄を下ろす。
八森 朝陽
八森 朝陽
やっぱり……。
笹良さんも〝見える〟んだ?
薄々、そうじゃないかなとは思ってたんだよね。
本屋にくる幽霊を上手く避けてるようなところあったし
笹良 直
笹良 直
あ……え……。
えーっと……

どう答えたらいいか分からず、言葉に詰まってしまった。


自分以外に幽霊が見える人なんて、なかなか居ないと思っていたのに、こんなにも身近に存在したとは。
八森 朝陽
八森 朝陽
そんなに警戒しなくていいよ。
ただ、幽霊と関わってるのを見て、ちょっと心配になっただけ

そう言って笑う朝陽先輩の姿に、私は息を吐いて落ち着くことができた。
笹良 直
笹良 直
あの、彼は……景久とは昨日出会ったばかりで。
で、でも悪い人じゃなさそうなんです。
自分の死因が分からないって言うから、手伝ってあげたくて
八森 朝陽
八森 朝陽
そういうことか……。
じゃあやっぱり、これからは僕が店から家まで送るようにするよ。
霊が近くにいるなんて、余計に心配だ

まさかそういう方向の話になるとは予想もしてなくて、私は心臓を跳ねさせた。


【第9話に続く】