無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第7話

優しい人
あれから無事に銭湯に行って帰ってきて、翌朝。

優木 景久
優木 景久
直、おはよう。
そっち行って大丈夫?
笹良 直
笹良 直
おはよう。
いいよー

私が起きた物音を聞いたからか、景久が二階に上がってきた。


毎朝の食事であるトースト一枚とインスタントコーヒーを私がテーブルに置くと、それを見た景久は唖然とする。
優木 景久
優木 景久
朝ご飯、それだけ?
直、毎日ちゃんと食べてるのか?

信じられないと言いたげに、景久は身を乗り出して聞いてくる。


私はコーヒーを吹き出しそうになるのを耐え、飲み込んでから笑った。
笹良 直
笹良 直
学食で定額食べ放題プランに入ってるから、お昼にたくさん食べてるよ。
朝はこれで充分
優木 景久
優木 景久
昼に食べてるならいいけど……。
ここにあと、ハムとサラダと、バナナとヨーグルトくらいはいるだろ……
笹良 直
笹良 直
そんなに食べきれないよ

景久は医学部に通っていたからか、栄養面にいささか納得いっていない様子だ。


幽霊に健康を心配されたのは初めてのことで、私は再び笑ってしまった。
笹良 直
笹良 直
(なんだろう……。
この人のこと、もっと知りたいって思う)

少しずつ、景久に対して興味がわいてきている。


幽霊にこれほど心を許したのは、本当に久しぶりだ。
笹良 直
笹良 直
自分がどうして死んじゃったのか、知りたくないの?

つい、そんなことを聞いてしまった。


口に出してしまってからすぐに、センシティブな話題に触れてしまったかと、反省する。
笹良 直
笹良 直
あっ、ごめん。
答えたくなかったら、答えなくていいからね……?
優木 景久
優木 景久
いや、いいんだ。
知りたいとは常々思うけど、怖い……
笹良 直
笹良 直
そっか……。
そうだよね

もし私が景久と同じ状況に置かれたら、自分が死んでしまった原因を知るのに、きっと勇気がいる。


それでも、知りたいと思う気持ちがあるのなら、力になりたい。
笹良 直
笹良 直
送り迎えしてくれるお礼に、私が調べてみようか?

そう私が提案すると、景久は目を輝かせて頷いた。
優木 景久
優木 景久
マジで?
お願いできるなら、そうしてほしい。
もしやばいやつだったら、それとなーく『やばかった……』だけでいいから
笹良 直
笹良 直
やばいやつって、例えば?
優木 景久
優木 景久
誰かの恨みを買って殺されたとかだったら、成仏できない気がする……

昨日会った時から、勝ち気で自信たっぷりだったはずの景久は、弱々しくそう言った。


景久がそう思うのは、誰かを思いやる優しい心があるからだ。


私はもう、彼がそういう人だと知っている。
笹良 直
笹良 直
大丈夫だよ。
景久みたいに優しい人は、誰かの恨みを買っても、多分逆恨みとか嫉妬とかだよ。
景久が悪いとかじゃないと思う

私は彼を励ますように、笑って言った。
優木 景久
優木 景久
え。
俺って、優しいの?

意外だと言いたげに、景久は目を丸くする。
笹良 直
笹良 直
優しいと思うけど……?

改めて聞かれると、自信がなくなってきて、私は首を傾げた。
優木 景久
優木 景久
なんで自信なくすんだよ。
そこは、『うん』だろ!
笹良 直
笹良 直
だって知り合ってまだ一日だよ?

互いに顔を見合わせて、笑う。
笹良 直
笹良 直
(久しぶりに、自分の家で笑ったな……)

景久のような幽霊となら、一緒に居るのも悪くないと思い始めていた。



【第8話へつづく】