早く、景久に会いたい。
病院の場所を聞こうとすると、私の横に人の影が現れた。
横から入ってきたのは、朝陽先輩だった。
いつの間にこっちへ来て話を聞いていたのか。
先輩はそう言って、優しく笑った。
景久の母親は、朝陽先輩のことも警戒している。
突然来た私たちに心を許せというのも、無理な話だが。
ここで引き下がりたくはなかった。
ふたりで一緒に頭を下げて頼むと、母親は長い溜め息をついた。
彼女は、総合病院の住所や地図が書かれた、名刺サイズカードを手渡してくれた。
心臓が痛いくらい、高鳴っている。
***
私たちは病院へ向かい、総合受付で景久への面会を申請した。
彼の名前を出した途端、受付の人が目を見開き、「ご家族の許可は……?」と聞いてくるほど厳重な守りようだ。
受付を済ませて待っていると、担当の看護師であるという女性が迎えに来てくれた。
息が苦しくなってきた。
扉を何重にもくぐって通された、特別病棟。
その中の、とある個室へと私たちは入った。
透明なガラスの仕切りを隔てた向こう、純白のベッドの上で、景久は静かに横たわっていた。
それが本当に人間であることは、私にも、恐らく朝陽先輩にも分かる。
そしてそのすぐ近くに、もうひとりの景久が俯いたまま、佇んでいる。
生き霊だから、あれほど人間味が強く、幽霊っぽさを感じなかったのだろう。
ここにきて、ようやく理解した。
呆然としている私に代わって、朝陽先輩がそう質問してくれた。
看護師は苦い顔で首を横に振る。
看護師が部屋を去ると、佇んでいた景久が、私たちにようやく気付いた。
ガラスの仕切りをすり抜け、いつになく青白い顔で語り始める。
【第17話へ続く】

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。