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第16話

やっと会える
早く、景久に会いたい。


病院の場所を聞こうとすると、私の横に人の影が現れた。
八森 朝陽
八森 朝陽
その病院というのは、どこですか?
友人なら、教えてもらってもいいですよね
笹良 直
笹良 直
先輩!?

横から入ってきたのは、朝陽先輩だった。


いつの間にこっちへ来て話を聞いていたのか。
八森 朝陽
八森 朝陽
バイトが休みだし、笹良さんが動くなら今日だろうと思って。
お節介だけど、心配でついてきた。
あ、今日限定だし、ストーカーじゃないからね

先輩はそう言って、優しく笑った。
笹良 直
笹良 直
全然気付きませんでした……。
ありがとうございます
八森 朝陽
八森 朝陽
うん。
でも、今はそれよりも、彼のことを聞かないと
景久の母
景久の母
あなた……もしかして、この前電話してきた人?
八森 朝陽
八森 朝陽
そうです

景久の母親は、朝陽先輩のことも警戒している。


突然来た私たちに心を許せというのも、無理な話だが。


ここで引き下がりたくはなかった。
笹良 直
笹良 直
彼も、景久くんのことをずっと心配していて……。
病院、教えていただけないでしょうか。
ひと目見られるだけでもいいんです。
お願いします
八森 朝陽
八森 朝陽
僕も、お願いします

ふたりで一緒に頭を下げて頼むと、母親は長い溜め息をついた。
景久の母
景久の母
……絶対に、周りに言いふらさないでくれる?
笹良 直
笹良 直
もちろんです!
約束は守ります!
景久の母
景久の母
この病院よ。
特別病棟にいるから、私の許可をもらってきたとそこで言えばいいわ
笹良 直
笹良 直
あ、ありがとうございます!

彼女は、総合病院の住所や地図が書かれた、名刺サイズカードを手渡してくれた。
笹良 直
笹良 直
(もうすぐ、景久に会える……?)

心臓が痛いくらい、高鳴っている。



***



私たちは病院へ向かい、総合受付で景久への面会を申請した。


彼の名前を出した途端、受付の人が目を見開き、「ご家族の許可は……?」と聞いてくるほど厳重な守りようだ。


受付を済ませて待っていると、担当の看護師であるという女性が迎えに来てくれた。
看護師
景久くんのお見舞いにお友達が来るなんて、初めてじゃないかしら!
顔を見て、声をかけてあげてください
笹良 直
笹良 直
は、はい……

息が苦しくなってきた。


扉を何重にもくぐって通された、特別病棟。


その中の、とある個室へと私たちは入った。
看護師
ここで、景久くんは眠っています
笹良 直
笹良 直
……!

透明なガラスの仕切りを隔てた向こう、純白のベッドの上で、景久は静かに横たわっていた。


それが本当に人間であることは、私にも、恐らく朝陽先輩にも分かる。


そしてそのすぐ近くに、もうひとりの景久が俯いたまま、佇んでいる。
笹良 直
笹良 直
(そっか……。
私が出会った景久は、〝生き霊〟だったんだ)

生き霊だから、あれほど人間味が強く、幽霊っぽさを感じなかったのだろう。


ここにきて、ようやく理解した。
八森 朝陽
八森 朝陽
あの……。
詳しい事情が分からないんですが、彼はどうしてこんなことに?

呆然としている私に代わって、朝陽先輩がそう質問してくれた。


看護師は苦い顔で首を横に振る。
看護師
それはご家族から口止めされてまして……。
だから、お話しできないんです。
ごめんなさいね
八森 朝陽
八森 朝陽
そうですか……
看護師
だからせめて、声を聞かせてあげてください

看護師が部屋を去ると、佇んでいた景久が、私たちにようやく気付いた。
優木 景久
優木 景久
……ここに来たら、全部思い出した

ガラスの仕切りをすり抜け、いつになく青白い顔で語り始める。


【第17話へ続く】