第18話

四人目の一年
1,080
2021/10/11 01:00




待ち合わせに原宿に集められた、恵、悠仁、愛莉はもう1人の1年と合流するため、悟に駅近くで呼び出されていた。

虎杖悠仁
虎杖悠仁
1年がたった4人って少な過ぎねぇ?
伏黒恵
伏黒恵
じゃあオマエ今まで呪いが見えるなんて奴会ったことあるか?
虎杖悠仁
虎杖悠仁
·····ねぇな。
幽霊が見えるとかは愛ぐらいしか聞いた事ねぇし、呪いは·····ねぇな。
茅 愛莉
幽霊って言ったって私だって居ないと思ってて今まで暮らしてたから、基本は見ない事にしてるしね。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
今、見ようと思ったら見えんの?
茅 愛莉
見たくないわよ。だから、見ない!見えない!
ちなみに私も呪いはあれが初めて。
伏黒恵
伏黒恵
とにかくそれだけ少数派マイノリティなんだよ、呪術師は。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
っていうか、俺が4人目って言ってなかった?
伏黒恵
伏黒恵
入学が随分前に決まってたらしいぞ。
こういう学校だしな。何かしら事情があんだろ。
茅 愛莉
女の子って言ってたね。楽しみ!
五条悟
五条悟
おまたせー!
駅近くから悟が手を上げ、こちらに歩いてきた。
五条悟
五条悟
おっ!制服間に合ったんだね。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
おうっ。ピッタシ。でも伏黒と微妙に違ぇんだな。
五条悟
五条悟
皆ちょっとずつ違うところがあるかな。
お!愛莉も似合ってるね。
茅 愛莉
これ、制服なんですか?
恵とほぼ同じ黒の上着だが首元が狭く作られており、黒のワイドショートパンツが朝準備されていた。さすがにスカートを履いていた制服よりも丈が短かったのと、制服なのにあまりの生足露出には抵抗があったため、タイツを履いてきたが違和感だらけで着心地が悪かった。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
愛のは何か制服って、感じじゃないな。
五条悟
五条悟
あらーその制服には生が似合うと思ったのにー。もったいない!
茅 愛莉
·····。
冷たい眼差しで悟を見る愛莉に悠仁もちょっと引きつった顔をしていた。
五条悟
五条悟
どしたの?
伏黒恵
伏黒恵
その発言、世間でいうセクハラですよ。
五条悟
五条悟
え、そうなの?
似合うから、まっ!いいじゃん!
茅 愛莉
(まだ普通のスカートの方が良かった·····。)
虎杖悠仁
虎杖悠仁
愛似合ってるし、良かったじゃん!
茅 愛莉
うん·····これで、大丈夫です。
五条悟
五条悟
制服は希望があれば色々いじって貰えるからね。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
え、俺らそんな希望出してねぇけど。
五条悟
五条悟
そりゃ僕が勝手にカスタム頼んだもん。
茅 愛莉
(これ、アンタかい!)
虎杖悠仁
虎杖悠仁
····ま、いいか。
気に入ってるし。
伏黒恵
伏黒恵
気をつけろ、五条先生こういうところあるぞ。
茅 愛莉
(可愛いから·····いっか。)
伏黒恵
伏黒恵
それよりなんで原宿集合なんですか?
五条悟
五条悟
本人がここがいいって。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
アレ食いたい!!ポップコーン!!
茅 愛莉
悠仁、遊びに来たんじゃな·····
愛莉の前をカラフルなカップに入った巻かれたロールアイスを持っていた女の子達が横をすれ違い目が止まった。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
愛、どうした?
茅 愛莉
いや、可愛いなー·····って思って。
どんな味するんだろ···。
五条悟
五条悟
よしっ、ここは世界一優しい五条悟先生が買ってあげよう!
その姿に待ってました、と言わんばかりに気合いをいれた。
茅 愛莉
え、そんないいですよ。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
先生、俺も欲しい!!
五条悟
五条悟
いいとも。恵は?
伏黒恵
伏黒恵
いりませんよ。
五条悟
五条悟
恵はカラフルなアイスクリームね。
伏黒恵
伏黒恵
だから、いらないって。



カラフルなお店で買い物する悟の姿を後ろで見ていた3人は、
虎杖悠仁
虎杖悠仁
なんか、五条先生·····
茅 愛莉
あのお店で買い物姿·····
伏黒恵
伏黒恵
似合わないな。
キャピキャピと買う姿は良いのだが、風貌が黒づくめなためか、店員さんも戸惑いながら準備をしていた。
五条悟
五条悟
はい、愛莉が食べたがってたロールアイス。で、悠仁にはクレープね。
女の子達が持っていたアイスと同じ物を悟から受け取り、
茅 愛莉
いいんですか?·····ありがとうございます。
悠仁にはポッキーが差してあるチョコとバナナたっぷりのクレープを渡した。
五条悟
五条悟
あと、悠仁はもう1つ、ポップコーンね。
クレープとは別にポップコーンも悠仁に渡す。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
先生、ありがとう!
五条悟
五条悟
恵ホント良かったの?
カラフルアイスクリーム、ポップで可愛かったよー?
伏黒恵
伏黒恵
いりませんって!

悟に買ってもらったクレープやアイスを食べながら探していると制服が同じで、水玉のネクタイに白いスーツ姿の男性にケンカを売っている女の子が道端にいた。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
俺達今からアレに話しかけんの?
茅 愛莉
·····。
どこで見つけたのか、悠仁は面白メガネをかけいつの間にか買っていた。愛莉はそんな姿を横目に呆れた目で見ていた。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
ちょっと恥ずかしいなぁ。
伏黒恵
伏黒恵
オメェもだよ。
五条悟
五条悟
おーい、コッチコッチ。




人通りが少ない場所に移動すると、
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
そんじゃ改めて、釘崎野薔薇。
喜べ男子。紅一点··········よ·····?
悠仁の横に居た愛莉を見て、悟を睨みつけた。
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
女子って私だけじゃなかったの!?
五条悟
五条悟
急きょ、転入が決まったんだよ。
茅 愛莉
は、初めまして、茅愛莉です。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
俺、虎杖悠仁。愛莉と一緒で仙台から。
伏黒恵
伏黒恵
伏黒恵。
野薔薇は3人を舐めまわすように顔を見るとため息をついた。
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
私ってつくづく環境に恵まれないのね。
伏黒恵
伏黒恵
(人の顔見てため息つくなよ。)
野薔薇は愛莉の腕にしがみつき、
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
でも、女の子が居るなら別だわ。
よろしくね、愛莉。
茅 愛莉
こちらこそ、よろしくね。野薔薇ちゃん。
女子トークで2人盛り上がる中、恵は悟に話しかけた。
伏黒恵
伏黒恵
これからどっか行くんですか?
五条悟
五条悟
フッフッフ。
せっかく一年が4人揃ったんだ。
その内3人はおのぼりさんときてる。
黒い布で目が隠されているが、ギラリと悟の眼光が光る。
五条悟
五条悟
行くでしょ。
東京観光。
伏黒恵
伏黒恵
え゛?
キラキラと瞳が輝く悠仁と野薔薇を横に、恵は嫌がるような表情、愛莉は嬉しいような複雑な表情でいた。
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
TDLディズニーランドTDLディズニーランド行きたい!!
虎杖悠仁
虎杖悠仁
バッカ!TDLディズニーランドは千葉だろ!!中華街にしよ、先生!!
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
中華街だって横浜だろ💢!!
虎杖悠仁
虎杖悠仁
横浜は東京だろ💢!!!
茅 愛莉
·····横浜は神奈川だよ。
伏黒恵
伏黒恵
·····。
五条悟
五条悟
静粛に!
それでは行き先を発表します。
膝まづいて、悟の言葉を胸に2人は頭を下げた。
その2人の後ろで、恵と愛莉は呆れた目で見ていた。
五条悟
五条悟
六本木!
悠仁、野薔薇
「「六本木!?」」

顔を見合わせ2人で目を輝かせていたのもつかの間、数分後に訪れた廃墟になったビルの前。
伏黒恵
伏黒恵
いますね、呪い。
悠仁、野薔薇
「「嘘つきーーーー!!!!」」
茅 愛莉
すごい·····空気が重い。
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
地方民を弄びやがって!!
悠仁は切り替え、改めてビルを見上げた。
五条悟
五条悟
でかい霊園があってさ、廃ビルとのダブルパンチで呪いが発生したってわけ。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
やっぱ墓とかって出やすいの?
伏黒恵
伏黒恵
墓地そのものじゃなくて、墓地=怖いって思う人間の心の問題なんだよ。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
あー学校とかも似た理由だったな。
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
ちょっと待って。コイツそんな事知らないの?
伏黒恵
伏黒恵
実は·····
悠仁の事情や愛莉の事を包み隠さず野薔薇に話した。
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
飲み込んだぁ!?特級呪物をぉ!?
逃げるように悠仁から離れ、
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
きっしょ!!!
ありえない!!衛生観念キモすぎ!!
虎杖悠仁
虎杖悠仁
んだと💢?
伏黒恵
伏黒恵
これは同感。
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
愛莉の事も驚きだけど、その事情で高専入れるのね。
茅 愛莉
·····。
やっぱり、呪力がない状態で高専に入るのはおかしいんだ。

特別枠と五条先生は言っていたけど、悠仁は学長と面談があった。でも、私はなくて転入してしまった。


·····本当に良かったのだろうか。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
·····。
伏黒恵
伏黒恵
·····。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
呪力ない先輩達居るらしいから、愛も大丈夫だよ。
茅 愛莉
·····うん。
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
へぇ、呪力ない人他にも高専に居るのね。
五条悟
五条悟
君達がどこまでできるか知りたいんだ。
野薔薇、悠仁。
2人で建物内の呪いを祓ってきてくれ。
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
げっ。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
呪いは呪いでしか祓えないんだろ。
俺と愛は呪術なんて使えねぇよ。
五条悟
五条悟
君はもう半分呪いみたいなもんだから。
体には呪力が流れているよ。でも、ま、呪力の制御コントロールは一朝一夕じゃいかないから·····
布に包まれた物を悠仁に渡した。
五条悟
五条悟
これを使いな。
悠仁に刃先が太く、先近くに穴が2つ入ったナイフを渡した。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
おぉ。
五条悟
五条悟
呪具『屠坐魔とざま』。呪力の篭った武器さ。これなら、愛莉でも使えるし、呪いにも効く。
茅 愛莉
ナイフかぁ·····。
伏黒恵
伏黒恵
呪具は色んな種類があるから、あれだけとは限らないよ。
茅 愛莉
そうなんだ。
自分に合った呪具なんてあるのだろうか。
あんな武器すら持った事ないのに、扱えるかも不安だ。
五条悟
五条悟
ま、実地試験みたいなもんだね。
腰に道具を入れたポーチを巻き、野薔薇は建物に足を進める。
五条悟
五条悟
あー、それから·····
何かを言いたげに悠仁を引き止め、
五条悟
五条悟
宿儺は出しちゃ駄目だよ。
アレを使えばその辺の呪いなんて瞬殺だけど·····
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
五条悟
五条悟
近くの人間も巻き込まれる。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
分かった。
茅 愛莉
悠仁·····
愛莉が心配そうに悠仁を引き止めたが、
茅 愛莉
頑張って。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
おう!
野薔薇の後を追うように建物に入って行った。


伏黒恵
伏黒恵
やっぱ俺も行きますよ。
五条悟
五条悟
無理しないの。病み上がりなんだから。
伏黒恵
伏黒恵
でも虎杖は要監視なんですよね。
茅 愛莉
·····。
悠仁は大丈夫だ。
宿儺に体を奪われるヘマはしない。
五条悟
五条悟
まぁね。でも····


不穏な気配が漂う建物を見上げ、
五条悟
五条悟
今回試されてるのは野薔薇の方だよ。






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