待ち合わせに原宿に集められた、恵、悠仁、愛莉はもう1人の1年と合流するため、悟に駅近くで呼び出されていた。
駅近くから悟が手を上げ、こちらに歩いてきた。
恵とほぼ同じ黒の上着だが首元が狭く作られており、黒のワイドショートパンツが朝準備されていた。さすがにスカートを履いていた制服よりも丈が短かったのと、制服なのにあまりの生足露出には抵抗があったため、タイツを履いてきたが違和感だらけで着心地が悪かった。
冷たい眼差しで悟を見る愛莉に悠仁もちょっと引きつった顔をしていた。
愛莉の前をカラフルなカップに入った巻かれたロールアイスを持っていた女の子達が横をすれ違い目が止まった。
その姿に待ってました、と言わんばかりに気合いをいれた。
カラフルなお店で買い物する悟の姿を後ろで見ていた3人は、
キャピキャピと買う姿は良いのだが、風貌が黒づくめなためか、店員さんも戸惑いながら準備をしていた。
女の子達が持っていたアイスと同じ物を悟から受け取り、
悠仁にはポッキーが差してあるチョコとバナナたっぷりのクレープを渡した。
クレープとは別にポップコーンも悠仁に渡す。
悟に買ってもらったクレープやアイスを食べながら探していると制服が同じで、水玉のネクタイに白いスーツ姿の男性にケンカを売っている女の子が道端にいた。
どこで見つけたのか、悠仁は面白メガネをかけいつの間にか買っていた。愛莉はそんな姿を横目に呆れた目で見ていた。
人通りが少ない場所に移動すると、
悠仁の横に居た愛莉を見て、悟を睨みつけた。
野薔薇は3人を舐めまわすように顔を見るとため息をついた。
野薔薇は愛莉の腕にしがみつき、
女子トークで2人盛り上がる中、恵は悟に話しかけた。
黒い布で目が隠されているが、ギラリと悟の眼光が光る。
キラキラと瞳が輝く悠仁と野薔薇を横に、恵は嫌がるような表情、愛莉は嬉しいような複雑な表情でいた。
膝まづいて、悟の言葉を胸に2人は頭を下げた。
その2人の後ろで、恵と愛莉は呆れた目で見ていた。
悠仁、野薔薇
「「六本木!?」」
顔を見合わせ2人で目を輝かせていたのもつかの間、数分後に訪れた廃墟になったビルの前。
悠仁、野薔薇
「「嘘つきーーーー!!!!」」
悠仁は切り替え、改めてビルを見上げた。
悠仁の事情や愛莉の事を包み隠さず野薔薇に話した。
逃げるように悠仁から離れ、
やっぱり、呪力がない状態で高専に入るのはおかしいんだ。
特別枠と五条先生は言っていたけど、悠仁は学長と面談があった。でも、私はなくて転入してしまった。
·····本当に良かったのだろうか。
布に包まれた物を悠仁に渡した。
悠仁に刃先が太く、先近くに穴が2つ入ったナイフを渡した。
自分に合った呪具なんてあるのだろうか。
あんな武器すら持った事ないのに、扱えるかも不安だ。
腰に道具を入れたポーチを巻き、野薔薇は建物に足を進める。
何かを言いたげに悠仁を引き止め、
愛莉が心配そうに悠仁を引き止めたが、
野薔薇の後を追うように建物に入って行った。
悠仁は大丈夫だ。
宿儺に体を奪われるヘマはしない。
不穏な気配が漂う建物を見上げ、
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!