今日はたまたまお互いの休みがあったから急遽会うことに。でも特に行く所もなかったので近くの公園をお散歩デート。
懐かしそうに思い出を話始める康二くん。私も懐かしくなって道のいちょうの木が等間隔にある公園の道を写真を撮りながら歩いた。
するとそこにボールが
康二くんの足元に転がってきたボールを指差し男の子は言った。
ボールをなげかけすと一緒に遊んでいたのだろうほかの子供達も集まってきた。
目をキラキラさせながら寄ってくる。
子供たちのブーイングに困っている様だった。
戸惑いながらもカメラを私に預け、手を引かれて颯爽と走っていった。
みんな楽しそうなのだが何より康二くんの笑顔が1番輝いているように見えた。思わず康二くんから預かったカメラでシャッターを切る。
何回か使い方を教わっていたから何枚か撮ってみる。どの場面にも笑顔しか映らない。
我ながらよく撮れたと自画自賛。
撮った写真に視線を落とした。
もっとと思い顔を上げる。するとさっきまで走っていたはずの子供たちと康二くんが見当たらない。
ただでさえここは見晴らしがいいはず。暫くキョロキョロと探していると、メインの遊ぶ場所から少し離れ原の方で花の冠を作っているようだった。
やっぱり女の子は器用だ。男の子も康二くんも教わっているみたい。
こっちにまで聞こえてくるような大きな声ではしゃいでいた。
独り言で呟いたのだが聞こえたのかぱっとこちらを見て作った花の冠をこちらに見せるようにして手を振った。
振り返すと周りにいた女の子が康二に何やら話しかける。
突然立ち上がると子供たちから歓声が上がる。駆け足で皆がこちらに向かってくる。
元気よく手招きしてくる。荷物を持ち行くと、
私が聞くのを他所に康二くんは話し始めた。
女の子は両手で口を隠し、男の子はおーっと言って康二くんに話の続きを求める。
私だけ話についていけずにわたわたしていると、さっき作っていた花の冠を頭に乗せてくれた。
盛り上がっていると子供たちの親だろうか迎えに来たようだった。康二くんは深々と頭を下げると子供たちを見送った。
みんな元気よく帰ってった。
笑っていたが耳が赤くなるのを見た。きっととても照れている。カメラの事を思い出す。
康二くんは私の撮った写真を見るなり、べた褒めしてくれた。そしてこちらにカメラを向けると
何枚か撮っているようだった。丁度風邪も吹いてきて葉が舞う。さっきまで太陽が出ていたので暖かかったが、太陽が陰ると肌寒い。
そう言うと私の方に手を出してきた。手を繋ぐことは殆どないため少しドキッとした。甘えて手を握る。とても暖かい。
その後あの時撮った写真は康二くんの家にいつの間にか壁に飾られていた。
最初は自分だと言うことに気が付かなかった。これからここに思い出増やすからと言われた。
康二くんとの思い出を眺めれるだけでとても幸せだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。