今日は、海斗の部活があり、家には集まれない日だ。波は一応家で机に向かったが、分からないし進まないしで何も出来ず、結局近くの図書館にやってきた。
最近は、暇になるとここで昔の資料を探す。
大昔の資料とかなら自分の能力について何かわかるかもしれないと思って、何か書いてありそうなものは片っ端から読んでいるが、今のところこれといった手がかりはない。
図書館の司書さんには何度か「お手伝いしましょうか」と聞かれたが、返す言葉も見つからず、「大丈夫です…」とだけ答えていると、あからさまに諦められた。今では波を気にするのは、いつ行っても椅子に座って雑誌を読んでいるおばあさんだけだ。
いつも波の方を見て、なにか気になっているような視線を送ってくるが、特に話しかけてくる様子はない。何かあるなら言って欲しいが、こちらも別に助言を求めている訳では無いので気にしていない。
今日も、おばあさんの視線を感じながら資料を探す。「異能」とか「予知」とかいう言葉が見えたらすぐにその本や資料を手に取る。それをずっと続けているにも関わらず、未だに何も分からないままだ。
家族も何も知らないどころか、話も聞いてくれなかった。イタズラだと思われたみたいだが、高校生がこんなことで嘘をつくわけがないだろうと、心の中で反論して家族からの情報収集は諦めた。