ー実弥視点ー
いや駄目だ、玄弥が綾に惚れてんだよ。
それに今家に帰ったらアイツがいるんだよ。
ーーなんて思うのは自分に自信が無いからだった。
俺は最近迷っている事があった。
それは綾の事だ。
本当に俺の事を好きなのかとか、俺で綾と釣り合うのかとか。
最近そんな事ばっかり考えてしまう。
ーーまあ、俺を心配させる程の綾の可愛さもどうにかしてほしいけど。
とか言って俺の手を掴む綾。
どれだけゲーセンを楽しみにしてるんだか…。
ー不死川家へ到着ー
俺は急いで自室からバイクの鍵を取り車庫へ向かった。
玄弥が綾に気付く前に、早く…。
ーー遅かった。
お前最初から気付いてたろ、なんて言わずに玄弥をリビングに押し込んだ。
俺は綾にヘルメットを被らせてエンジンをかけた。
なんて他愛ない話をしながら綾を乗せる。
ガソリン、財布、スマホ、家の鍵を再度確認して俺もバイクに乗る。
俺はいつも通り綾に背中にしがみつかせてから走った。
なんやかんやいって俺はこの時間が一番好きだ。
俺の傍に綾がいるって事をちゃんと認識出来るからな。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。