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第1話

❄️1日目❄️
63
2020/03/26 18:51
1月12日(日)ゆき
いつもは雪が溶けかけている時期。でも、今年は異常気象みたいで溶けかけていた雪に今日また雪がふりつもってゆく。
琴葉
琴葉
....起きたくない。
暖ちゃん
暖ちゃん
zZ
いつもの朝。愛ネコ暖ちゃんもいつも通り寝てる。
暖かいのが大好きな私は寒い布団の外に出ることをもがきつづけている。なんでそんなにでたくないのかって?それは、まさか今日雪が降るとは思わなくて暖房をいつもより低くつけていたからだ。外の寒さ+暖房が低いという二段階の寒さを私の体と脳みそが拒んでいるのだ。
ぐ〜
お腹の音が寒い部屋に響く。
その音に暖ちゃんが寝ながら耳を傾ける。
琴葉
琴葉
....お腹すいた。
このままベットにいたらお腹すいてさらに動きたくなくなっちゃう....。仕方なく布団からもぞもぞと出る。部屋のあまりの寒さにガタガタ身震いしながらリビングに向かう。
琴葉
琴葉
なにかあったかいもの....コーンスープでも飲んであったまろ....。
私の冬の必需品、コタツのコンセントをさしてお湯を沸かす。6枚切りの食パンを1枚とってトースターに入れる。コップとスプーンを用意したら、コップに多分78.5℃くらいのお湯とコーンスープの素を入れてスプーンで混ぜる。食パンがキツネ色に染まってきたらおさらに置いて....
はい。朝ごはんのかんせーい。
琴葉
琴葉
もぐもぐ....ごくん
朝は本当に少食だからこれだけで腹6分目になる。
でも、そこに....
ピンポーン
アパートのチャイムが鳴る。
琴葉
琴葉
どうぞー。
コタツに入ったまま少し大きめな声で言うと、

ガチャ
朱音
朱音
おはようー。
琴葉
琴葉
おはようございます。
朱音さんが入ってきた。平日は朝6時くらいに、土日はお昼後にきて昨日の夕飯の余り物やお菓子を持ってきてくれる心優しい人だ。私の手のひらくらいは食べないと「しっかり食べてる?」と心配されてめんどくさくなってしまうので腹6分目くらい食べておくとちょうどいいのだ。
朱音
朱音
元気?
琴葉
琴葉
はい。
朱音
朱音
そっか。よかったよかった。今日は肉じゃが持ってきたよ!
琴葉
琴葉
おー!
朱音さんは私より4つ年上なこともあって、とっても料理が上手だ。中でも煮物系がこれはまたとっても絶品なのだ。タッパーに詰められた肉じゃがを蓋を開けてみてみると、
見るからにしっとりとしたじゃがいもとにんじんが苦手な私のためにしっかり煮込んでくれたのであろう柔らかそうなにんじん、火加減がちょうどよく硬すぎずに仕上がった薄切りの豚肉。みているだけでヨダレが出てくる。
琴葉
琴葉
美味しそう....
朱音
朱音
今回はちょっと自信作だよっ
ささっ!おたべ!
口調がおばさんくさくなってる朱音さん。節約のために食パンを食べ終わった後のお皿に肉じゃがをとって食べる。
琴葉
琴葉
〜〜〜っ!!!おいし〜!!!
朱音
朱音
でしょ?隠し味に砂糖を少し加えてみたんだけど....
暖ちゃん
暖ちゃん
にゃあ
暖ちゃんが廊下からひょこっと顔を出してくる。
朱音
朱音
暖ちゃ〜〜〜〜ん!今日もかわい〜〜ね〜!
琴葉
琴葉
ふふっ
朱音
朱音
あ、琴葉ちゃんったら、今日も笑ったな〜?
琴葉
琴葉
す、スミマセンっ
朱音
朱音
まったくもー。....それに、敬語はもういいのよ?
琴葉
琴葉
....。
朱音
朱音
....記憶が無くなる前、あたしたちは親友だったのよ?気を使わなくてもいいのっ!
琴葉
琴葉
でも、やっぱり思い出せなくて....
朱音
朱音
思い出さなくてもいいよ....。過去は過去。今は今なんだから。
琴葉
琴葉
はい....。
朱音
朱音
じゃなくて?
琴葉
琴葉
あ、....う、うん!
朱音
朱音
それじゃあまた明日ね!
バタン....ガチャン
朱音さんが玄関を合鍵でしっかり締めて帰っていった。
琴葉
琴葉
....ねぇ。暖ちゃん。
暖ちゃん
暖ちゃん
にゃあ?
琴葉
琴葉
私の記憶....いつになったら思い出せるんだろうね?
暖ちゃん
暖ちゃん
....。
琴葉
琴葉
私、思い出したいよ....。昔の私を。思い出を。
暖ちゃん
暖ちゃん
にゃあ!
暖ちゃんがいつも薄くしか開かない蒼い眼を私の目と合わせて脳に響くような、ハッキリとした声でないた。
琴葉
琴葉
....ふふ。
琴葉
琴葉
やっぱりネコ語は分かんないや....。
そう。ネコ語はやっぱり分からない。だからその時、私は気づかなかった。暖ちゃんが....私に........ことを....。
「....て。」
声が聞こえる。
「お....て。」
誰の声?
「おきて。」
なんだろう、この声懐かしい....?
冬樹
冬樹
起きてっ....!
琴葉
琴葉
!!
冬樹
冬樹
あ、やっと起きた。
琴葉
琴葉
な、何....?誰?
冬樹
冬樹
え?どうしたの?琴葉?
琴葉
琴葉
なんで、私の名前....?
冬樹
冬樹
....?どうしたの?琴葉?僕だよ。
琴葉
琴葉
???
冬樹
冬樹
冬樹だよ。
琴葉
琴葉
ふゆ....き....?
冬樹
冬樹
そう....僕.....は........琴............
なに?声が遠く、なんで?なんなの??こわいっ!
琴葉
琴葉
はっ
暖ちゃん
暖ちゃん
zZ
琴葉
琴葉
....夢。
琴葉
琴葉
(いつのまに寝てたんだろう。もう18時。結構、というかかなり寝ちゃったな....。)
一緒に寝落ちしてしまった暖ちゃんにコタツの毛布をかけて立つ。
琴葉
琴葉
明日は学校だし、準備しとかなきゃ....。
寝ていた間に止んだのか、雪はもう降っていなかった。気温が朝よりもずっと暖かくなっていたから、あんなに寒かった部屋もぽかぽかになっていた。
時間割を確認して忘れ物がないか、宿題のやり忘れがないか、一通り確認する。忘れているところはなく、そのまま復習に励む。
カリカリ....
シャーペンの音が静かな部屋に鳴り響く。
なんだか静かすぎて落ち着かなくて時計を見ると、20時。
ぐ〜
お腹が再び鳴る。
琴葉
琴葉
(そういえば、昼ご飯抜いてたな....。肉じゃが食べようかな。)
リビングに向かい、冷めてしまった肉じゃがをチンして頬張る。
琴葉
琴葉
(美味しい....♡)
とろけるような舌触りのじゃがいもとにんじんに思わず、にやけていると。
暖ちゃん
暖ちゃん
にゃぁ〜〜
暖ちゃんが大きなあくびをして起きる。
琴葉
琴葉
おふぁおうはんひゃん....(おはよう暖ちゃん)
暖ちゃん
暖ちゃん
にゃあ....。
活気のない暖ちゃんの返事。随分疲れている様子。寝ていただけなのに。でも、寝るのって結構疲れるよね。分かる。
肉じゃがを残らずたいらげて。コタツに置きっ放しだったコップとお皿、スプーンと一緒にタッパーも洗う。
そのあとはお風呂に入って、歯磨きして。
あとは寝るだけっ!だんだんと寒くなってきた部屋に長く居座ることなくそのままベットにダイブ!したいけどタイブは埃がたつからやめておく。
琴葉
琴葉
おやすみ....暖ちゃん....。
暖ちゃん
暖ちゃん
にゃぁ....。
あれだけ寝たのにまだ眠たそうな暖ちゃんに心の中でまだ寝るのかーっ!とツッコミながら、自分もかなり寝ていることに気づく。自分で苦笑しながらそのまま、眠りにつく。
冬樹
冬樹
起きてっ....!
琴葉
琴葉
!!
冬樹
冬樹
あ、やっと起きた。
琴葉
琴葉
え、また。この夢....?
冬樹
冬樹
え?どうしたの?琴葉。
琴葉
琴葉
(さっきと同じ夢....。もしかしたら、なにか私にとって重要な、大切な夢なの....?)
冬樹
冬樹
....?どうした....
琴葉
琴葉
ね、ねぇ。
冬樹
冬樹
琴葉
琴葉
あなたは誰なの?
冬樹
冬樹
えっと?ふ、冬樹だけど。
琴葉
琴葉
そ、それは知ってる。
冬樹
冬樹
あ、まぁ。そうだよね。w
琴葉
琴葉
私と、あなたはどういう関係なの?
冬樹
冬樹
???
琴葉
琴葉
(この夢、何故か懐かしい....。もしかしたら私の過去と関係するかも....。)
冬樹
冬樹
?僕と琴葉は............て.......だ....
琴葉
琴葉
(またっ!声が遠くなっていくっ....!私の記憶の手がかりかもしれないのに....。)
琴葉
琴葉
っは!
ぼろっ
涙が溢れる。
琴葉
琴葉
え、な、なんで?
意味も分からずただただ溢れ、流れ続ける。
琴葉
琴葉
なに....?なんで?怖い....なんで....
ぽふっ
あれだけ寝たから声で起きてしまったのか、暖ちゃんが私のベットに乗ってスリスリしてくる。
暖ちゃん
暖ちゃん
ゴロゴロ....
琴葉
琴葉
暖ちゃん....
ふと、視界の端になにかがいたような気がして目をむける。
琴葉
琴葉
(....?気のせいか。)
暖ちゃん
暖ちゃん
にゃあ!
暖ちゃんがまた鋭い目つきで、そしてハッキリとした声でなく。
琴葉
琴葉
どうしたの?暖ちゃ....
視界の端にハッキリと誰かがいるのが見えた。
琴葉
琴葉
!?
白いパーカーで、蒼いジーパン、色素の薄い髪の毛、見覚えのある男の子。
冬樹
冬樹
....?
あの夢の男の子。冬樹がいた。
琴葉
琴葉
冬樹....?
冬樹
冬樹
!?!?!?
冬樹
冬樹
琴葉っ!!!!
冬樹が抱きついてこようと飛びかかってくる。
自己防衛の体制を思わずとる。
ゴツンッ
だが、冬樹は私をすり抜け、私の後ろの壁に顔面から衝突する。
冬樹
冬樹
どぅへっ
同時に冬樹が変な声をあげる。
琴葉
琴葉
だ、大丈夫?
冬樹
冬樹
....琴葉っ!!
琴葉
琴葉
!?
冬樹
冬樹
これは奇跡かな!?いや、奇跡でしかないよ!やっぱり僕らは、運があるんだよ!
琴葉
琴葉
えっと....なにが?
冬樹
冬樹
へ....?い、一緒に行ったでしょ?年越し後に一緒におみくじ開いて....!
琴葉
琴葉
え....?
冬樹
冬樹
うそ....やっぱり....僕らには運がないの....かな?
琴葉
琴葉
なんで、あなたは私の部屋にいるの?それに、透けて....
冬樹
冬樹
っ....。....いいよ、教える。....僕は幽霊。もうこの世に存在できないんだ。でも僕はこの部屋に縛られている。地縛霊なんだよ。
琴葉
琴葉
幽霊....?地縛....?
冬樹
冬樹
でも僕は....11時から12時までしかいられない。
琴葉
琴葉
な、なんで縛られてるの?
冬樹
冬樹
ごめんね....琴葉....。もう、時間みたいだ....。
琴葉
琴葉
え....
時計を見ると12時ちょっきり。
もう1度冬樹のいたところを見ると、そこにはもう冬樹の姿はなかった。
急に現れてあっという間に消えた。本当にあっという間に。
琴葉
琴葉
な....に....?
いつのまにか暖ちゃんは自分のベットで熟睡していた。
琴葉
琴葉
分からない....。
琴葉
琴葉
怖いよ....暖ちゃん....。
この日は寝れずに朝を迎えてしまった。
_あとがき_
読んでくれてありがとうございます!
オリジナルの作品なのに見てくださって本当に嬉しいです!もう嬉しすぎて感動....。wちなみに私、純愛物がかきたくてずっと準備してたんです。でも、w何故だが1話がものすごく長くなってしまいました....。すみません。もっと細かく分けたりとかすればよかった。( ; ; )まさかの約4000文字....!いつもは900〜1000をメアスにして書いてるので、すっごいこの数字にびっくりしてますw次回はいつも通りの長さで書きたいと思います。はい。それではまた次回!

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