第16話

デートだ!
429
2023/01/11 05:33
跡部 景吾
デートの日じゃねぇの!
美澄 柊乃
美澄 柊乃
何故それを知ってるのですか、?
跡部 景吾
…お前、知ってるだろう?
跡部家に使用人のスマホは監視
されてんだよ。
そうだった。

正直、この制度はどうかと思う。

プライバシーとはなんだ?

プライバシーもクソも無いぞ。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
…景吾様、
とりあえず、デート楽しんできます。
跡部 景吾
おう。
 
跡部 景吾
…じゃねぇよ!
不二周助に俺は会うんだ。
また始まった…

そう思いながら、腰に巻いてる桃色のカーディガンを少しいじる。

自分の瞳の色に合わせた青色のネイル、

少し短い黒色のスカート。

そして肩に掛けているラケットケース。

もう時間も迫っているというのに、景吾様の口は止まらない。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
以前会ったでしょう。
跡部 景吾
それとこれとは別だァ!
柊乃!
美澄 柊乃
美澄 柊乃
うっさいなぁ、景吾!
どうしようが私の勝手だし!
あ、

と声が重なる。

昔のように、言い合いをした。

幼なじみの時と、同じように。

従者失格だ。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
申し訳ございません。
あ、行ってきます。
逃げるようにして私は門をくぐる。

ラケットケースが跳ねて痛い。
跡部 景吾
おい、待て!
うるさい

と言いそうになったが、

私は従者、私は従者と自分に言い聞かせ、

そのまま待ち合わせ場所まで走った。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
ハーッ…
かなり早く着いちゃった…
何をしてようか、

とりあえずポケットからスマホを取り出す。

「着いたよ」と送り、

返信を待つ。

予定時間より10分も早い。

まだ来るわけ無いだろうと思いながら、

ネイルをもう一度確認する。
_
お姉さん、今、一人?
_
髪染めてカラコン?
ギャルだねぇ、それとも、ハーフ?
なんだコイツら、

とキレそうになりながらも、

今までの従者経験で培った演技力を発揮する。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
え、1人だけど~、
もしかしてぇ、一緒にご飯とか、
行きたい感じィ?
ギャルを望んでいるんだろ?お前ら。

と言いそうになりながらも

ギャルを装う。
_
お姉さん、話が早くて助かるよ~
美澄 柊乃
美澄 柊乃
んー、だけどー、
ウチィ、今は1人だけどぉ、
あと10分したら人と一緒になんだよねー
_
じゃあ、その子も一緒に、どう?
男だぞ男。

と言いそうになりながらも、

私は目の力を落とす。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
えー…
ってか、ジャージでナンパとかダサ。
相手はウッと言いそうになる。

金無いのにナンパすんなよとかブツブツ言いながら、

私は男2人の肩を叩いた。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
本当、やめてください。
先程より低い地声でそう言い放った。

普通の女性より低いその声を聞いて、

男2人は震え上がり、どこかへ逃げてしまった。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
チッ、逃がしたか…
あと5分か。

フラペチーノでも買おうかなーと、

近くのショップを見渡す。

あ、もう来てた。

いつの間にかメッセージも。

私はいつもの低い声で、声をかけた。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
不二さん、
不二 周助
あっ、美澄さん。
珍しいね、そんな服装で来るなんて
美澄 柊乃
美澄 柊乃
ちょっと、
気合いは入れましたかね、
私の吊り目を和らげるのに最適な服装。

そんなことを言いながら、今日のデート場所に向かう。
不二 周助
ん?電話だ。
…えっ!?越前と桃が、橘の妹と
三角関係…?
現在、ストリートテニス場。

確かに、杏と桃城さん、越前さんは居る。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
あッ、裕太さん!
不二 裕太
あッ、美澄さん!
えッ、兄貴も…
観月 はじめ
ん…?裕太くん!
お兄様と…女性…?
ま、まさか、不二くんの彼女!?
 
橘 杏
だから、デートだよ?
桃城 武
いや、違ぇって!
神尾 アキラ
どういうことだ桃城!?
 
伊武 深司
いいなぁ、そのグリップテープ。
試合して勝ったら譲ってよ。
越前 リョーマ
いいよ。
 
不二 周助
うーん…神尾も居るから…
四角関係じゃない?
美澄 柊乃
美澄 柊乃
…そうですね、どちらかといえば、
四角関係ですね
まぁ色々あり、かなり楽しかった。

裕太さんとテニスをしたり、

ダブルスを不二さんと組んだり。

時が経つのは早く、いつの間にか6時になっていた。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
今日はとても楽しかったです。
裕太さんの先輩の観月さんも、
良い人そうでした。
不二 周助
…まぁ、そうだね
少し日が沈みだした頃、私たちは肩を揺らす。

その時、
不二 周助
危ないッッ!
マズい。背後をとられてしまった。

顔を蹴り上げようと足を上げると相手は華麗によけた。
_
ッ、
美澄 柊乃
美澄 柊乃
不二さんッ、!
不二 周助
ふッ、!
私が武器を出そうとしている間に

ラケットとボールを使い、

相手が深く被っている帽子を脱がせる不二さん。

帽子を脱がされた相手を見て、

私は目を見開いた。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
兄さん…ッ?

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