驚きを隠せない不二さんが私に問う。
小さく頷くと、翠兄さんが自己紹介をし始めた。
花束を確認してもらって、
病室に向かう。
起きているだろうか、
返事が遅い。
少し扉を開けると、静かに読書をしている彼が居た。
そう、城成湘南に勝ったということは、
青学は次の試合で立海と当たる。
少し切なそうに下を向く幸村さん。
私は、胸が締め付けられるような感覚に襲われた。
静かに花を生ける。
3日前に持ってきた花を花瓶から取り、
静かに水を入れて、そして、
花瓶を置いて、
長いメイド服の裾を少し握る。
幸村さんは、試合に出られない。
難病の手術のため、らしい。
ベッドで上半身だけを起こしている幸村さんの手を取って
用意されていた椅子に腰掛ける。
少し、無機質な声でそう答えると
後ろのドアが音を立てて開いた。
冷ややかな目でそう赤也さんを見つめると、
幸村さんが口を開いた。
幸村さんのメイドをやっていた頃に
立海の部員さんとは仲良くなっていたため、
名前は全員覚えている。
ー美澄柊乃 Misumi Shinoー
ー経歴ー
小学校:キングスプライマリースクール(イギリス)
中学校:氷帝学園(東京都)
ー職歴ー
第一:跡部家別邸 メイド(イギリス)
第二:不二家本邸 メイド(東京都)
第三:幸村家本邸 メイド(神奈川県)
第四:___家本邸 戦闘メイド(東京都)
現在:跡部家本邸 戦闘メイド(東京都)
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。