第21話

開会式
349
2023/01/12 13:35
全国大会開会式。

スタジアムの中には沢山の観客。

中学生の大会とは思えない程、規模が大きい。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
選手入場ですね。
ミカエル
ええ。
景吾お坊ちゃまも、
氷帝の皆様と一緒に出場されます。
美澄 翠
美澄 翠
名門校ばかりだねぇ、
立海、青学には元主人。

そして氷帝には現主人。

此処が地獄か。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
あれって、!
美澄 翠
美澄 翠
ッ!
手塚国光。

どうやら、万全の状態でドイツから帰国してきたらしい。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
よかった、本当に、
少し目を細めて手塚さんを見つめる。

今回も、本気のテニスを見れるのだろうか。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
楽しみ、ですね。
翠兄さんの指示通りに

景吾様の居る氷帝控え室に向かう。

関係者専用の入り口。

跡部家メイドという名を使い、入ってはみたが、

あまりにも部屋が多すぎる。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
…氷帝は、東京だから、
青学の近くか、?

と考えながら廊下を歩いていく。
_
美澄さん、?
美澄 柊乃
美澄 柊乃
幸村さッ、
振り返って氷帝の控え室を聞こうとすると、

笑顔で両手を握られた。
幸村 精市
ふふッ、入院してた時は
君に手を握られてたけど、
 
幸村 精市
今は僕が君の手を握る番だよ、?
この笑顔は、ズルい。

恋愛経験が無い私には、かなり効く。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
幸村さん、あの、少々、
少々離れて下さい、

そう言えば良いのだが、

緊張してしまって口が思うように動かない。
幸村 精市
どうしたのかな、?
美澄 柊乃
美澄 柊乃
…計算高いですね、
幸村 精市
なんのことかな、?
この魔性の笑みを、何故私に向けるのだろうか。

少しうつむくと、

幸村さんはしゃがんで私の顔を下から見つめる。
幸村 精市
顔、真っ赤だね。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
ッ、!
おやめくださいッ、!
顔を手で覆うと、

幸村さんのクスクスという笑い声が聞こえる。

駄目だ、これでは任務が遂行出来ない、

私とて年頃の女性。

強く舌を噛み、また控え室を探し始めると、

目の前の扉が勢いよく開いた。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
申し訳ございまッ、
謝ろうと頭を下げると、

私の名を呼ばれた。
_
美澄、か、?
美澄 柊乃
美澄 柊乃
手塚…さん、?
頭を少し上げると、

驚いた顔をする手塚さん。

目の前に、居る。

あの、素晴らしいテニスをした方が、

居る。
手塚 国光
久し振りだな、
美澄 柊乃
美澄 柊乃
手塚、さん、!
手塚 国光
ああ、どうした、?
美澄 柊乃
美澄 柊乃
ッ、お帰りなさいませッ、!
涙が溢れてしまう。

嬉しいのに、涙が出る。
手塚 国光
…ただいま、
少し口角が上がった手塚さんの頬に触れる。

しっかり、彼は此処に居た。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
あッ、勝手に触れてしまって、
申し訳ございません、!
手塚 国光
…いや、大丈夫だ。
手で口元を隠す手塚さんは、

幸せそうだった。
_
うぉー!
菊丸 英二
美澄さんだーッ!
イチャイチャしないでよ、このーッ!
 
越前 リョーマ
あ、美澄さん、お疲れっす
美澄 柊乃
美澄 柊乃
皆様も、お疲れ様です
青学の生徒でないのに控え室へと案内される。

少し談笑したところで、

付けていたワイヤレスイヤホンから音が聞こえた。
美澄 翠
美澄 翠
℡柊乃?景吾様は?
美澄 柊乃
美澄 柊乃
あッ
美澄 翠
美澄 翠
℡まったく…急いでくれ、柊乃。
 メイドということを忘れるな
美澄 柊乃
美澄 柊乃
…すみません、皆様。
氷帝の控え室は、
河村 隆
あぁ、2つ隣の部屋だよ
美澄 柊乃
美澄 柊乃
ありがとうございます。
ゆっくり控え室から出て氷帝の方に向かう。

氷帝、見つけた。

コンコンコンと、3回ノックをする。

すると、不機嫌そうな顔をした景吾様が扉を開けた。
跡部 景吾
遅いぞ。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
申し訳ございません、
かなり寄り道をしてしまったのは私だ。

怒られるのも仕方がないと思い、頭を下げる。
跡部 景吾
心配しただろうが…
美澄 柊乃
美澄 柊乃
心配、されたのですか
跡部 景吾
当たり前だろ。
メイド服の裾をギュッと握り締める。

私を、心配してくださったのか、

優しい主人だ。

従者全員の名を覚え、一人一人の誕生日を

しっかりと祝うだけある。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
ありがとうございます、
そして、
























美澄 柊乃
美澄 柊乃
全国、頑張ってください。

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