氷帝は順調に勝ち進み、青学と当たった。
そして、負けた。
無様ではなかった。
けれど、かなりの屈辱だった。
相手は、1年、越前リョーマ。
屈辱だ。
けれど、
手塚とは、試合をしなかった。
互いに、拒んだ。
理由を聞かれても、明確な理由はなかった。
だが、越前とは戦いたかった。
だから戦った。
そして、負けた。
俺は越前と約束した通り、
髪を切った。
景吾様が、負けても、
尚
君臨する姿、
とても美しかった。
また、成長できますね。
景吾様。
そう反応した2人は、微笑みあっている。
全国大会の決勝戦終了。
勝ったのは、青春学園だった。
ただそれだけを、伝えたかった。
景吾様が越前さんに負けて1週間。
幸村さんも、その越前さんに負けた。
すると、
少し口角が上がっている手塚さんがこちらに向かってくる。
真田さんと一緒に。
少し溜め息を吐いて真田さんの膝、
手塚さんの肘を見る。
2人は横に頭を振った。
最後まで試合を見るために医務室に行かなかったらしい。
仕方がない。
私は持っていた保冷バッグから保冷剤を取り出し、
もう一つの鞄から包帯を取り出した。
時が経つのは早く、いつの間にか秋になっていた。
景吾様の髪も元通り。
秋、木の葉が色付く頃。
榊監督に一通の手紙が届いた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。