第25話

305
2023/02/11 01:30
美澄 柊乃
美澄 柊乃
ご用件をお伝えください、
黒部コーチ。
入江さんに案内されたのは、

モニタールーム。

入ってみるとスタッフの方が画面を見ながら

選手たちのデータを黙々と打っていた。
黒部 由紀夫
早いですね、
女性とは思えない
美澄 柊乃
美澄 柊乃
これでも
戦闘メイドとして
跡部家、___家に雇われていたもので
黒部 由紀夫
実力は確かのようですね。
君のデータも取らせて頂きました。
やはりあの監視カメラはデータを取るためだったのか。

小さく溜め息を吐くと、

黒部コーチは金色に輝くバッジをこちらに見せた。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
これは、
黒部 由紀夫
U-17選抜合宿のスタッフに
与えられる物です。
よく見てみると、

テニスラケットとU-17という文字が掘られていた。

このバッジをスーパーやスポーツショップに見せてから

会計をすると、

少し値段が安くなったりするらしい。
黒部 由紀夫
これは外出して
こちらへ帰ってきた時も使うので、
無くさないように。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
承知しました。
受け取ろうとすると、手招きをされる。

バッジを付けてくれるのだろう。

静かに近づくと、

黒部コーチの手で

ワイシャツの襟にバッジが付けられた。
黒部 由紀夫
ようこそ、U-17選抜合宿へ。
モニタールームから出て、

齋藤コーチと出くわす。

笑顔で「メンタルコーチとしての仕事、してきたよ」

と言われた。

何をしたのだろうか。

気になったので、早歩きでコートに向かう。

すると、ブラブラと使い物にならない腕をした桃城さん。

その前には、こちらへ歩いてくる鬼さん。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
鬼さん…もしかして、あなた、
鬼 十次郎
…手加減は、した。
十字のラケット。

これは確かに手加減したと言えるが、

桃城さんの腕はイカれていた。
齋藤コーチが言っていた意味がわかった。

ペアを組んでダブルスをするのかと思いきや、

やるのは同士討ち。

つまり、仲間と仲間が対立して試合をするのだ。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
忍足さん、どうですか、
試合の流れは
忍足 侑士
うぉ、美澄か。
試合の流れは跡部が優勢や。
日吉さんと景吾様の試合。

次期部長と現部長の闘いだ。
向日 岳人
てか美澄!
お前、此処になんで居るんだよ!
美澄 柊乃
美澄 柊乃
…まぁ、頼まれまして
どのペアも、とても気まずそうな顔をしている。

辛いだろう、苦しいだろう。

けれど、これを乗り切らなければ、



成長出来ない。


黒部 由紀夫
日吉若、脱落。
モニタールームでは着々と脱落者の名簿が作られていた。

この脱落者たちのデータは、どうやら監督に送られるらしい。

此処には居ない、監督に。
数時間前、負け組たちがこの合宿を去った。

越前さんも、去っていった。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
負けた方達は、
今頃、山のふもとでしょうか…
齋藤 至
お、美澄さん。
どうしたの?そんな真剣な顔して
美澄 柊乃
美澄 柊乃
いえ、まぁ…
この合宿を去った方は今、どこに居るか
考えまして
齋藤 至
あー、
それ気になっちゃったか。
居ない監督に挨拶もかねて、…
ひらめいた!

と言う齋藤コーチ。

何を考えているのだろうか。
齋藤 至
明日、
美澄さんのお得意様の武器商人さん、
此処に呼んで!
美澄 柊乃
美澄 柊乃
な、何故…
齋藤 至
美澄さんオススメの武器、
100本注文しといて!
美澄 柊乃
美澄 柊乃
なんでですか!?
齋藤 至
あさっての夜、山登りしてもらうから~!
美澄 柊乃
美澄 柊乃
逃げないでください!?
逃げられた。

けれど、

此処の合宿所ではなく、山に監督が居ること、

そして、負けた方達もきっと山に居ることがわかった。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
なるほど、?
跡部 景吾
美澄!
美澄 柊乃
美澄 柊乃
け、景吾様
少し逃げようかと考える。

すると、景吾様の後ろから見慣れたメンツが。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
氷帝勢揃いですか…
_
氷帝だけじゃないよ。
後ろを向くと、

黄色のジャージを着ている皆様。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
り、立海もですか…
幸村 精市
さぁ…
五感、奪われてみないかい?
美澄 柊乃
美澄 柊乃
嫌ですね。
とまぁ、逃げる気も無くなったので、

正直に此処にいる理由を話すわけだが、
忍足 侑士
元イギリス代表なんて聞いてへんで。
切原 赤也
なんかスゲェ!
跡部 景吾
なんだ、此処でもメイドか。
こんな反応をされるとは聞いていないぞ。

もう少し、こう、あっても良いのではないか。

歓迎とか、無いのか、?
美澄 柊乃
美澄 柊乃
もう良いです。
私も自室に戻るので、
切原 赤也
そういえば、
美澄 柊乃
美澄 柊乃
何か、?
少し声を低くして問い掛ける。

すると、

齋藤コーチが私の後ろに来た。
齋藤 至
まだ部屋が決まってないんだよねぇ
そうだった。

そういえば、私の部屋も、皆様の部屋も決まっていない。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
え、えぇ、と
齋藤 至
部屋もねぇ、
あんまり無いから、
嫌だ。

このコーチが言うことなどわかっている。

どうせこう言うんだろう。

「美澄さんも」
齋藤 至
男子と同じ部屋、ダメかな?
美澄 柊乃
美澄 柊乃
終わった…
跡部 景吾
じゃあ美澄は俺とだな
幸村 精市
いや、俺だよ。
他の階高校生の階の空き部屋は、また利用者が増えた時に使うはずだ。

つまり、なるべく開けておかないといけない。
美澄 柊乃
美澄 柊乃
女性の従業員さんも
他に居ますよね、?
齋藤 至
美澄さんの分は無いんですよ。
すみません。
地獄の部屋割りが、

始まるのか。

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