3歳の頃
1歳の妹が目の前で殺され
両親はすぐ帰ってくるから
とだけ言って
3歳の私を置いて家を出ていった
3歳の私はまだ嘘というものを知らない
だから私は
すぐ帰ってくる
そう思って一日を過ごした
喉はかわいてお腹は空いていた
飲むための水を探した
どこを探しても水はない
3歳の私は体力に限界が来ていた
冷蔵庫の1番下を開けた
そこには三本のペットボトル
その中にはお水
硬いキャップを一生懸命ひねって
キャップを開けた
両手で重いペットボトルを支えて
その水を飲んだ
ご飯が食べたい
そう思ったが
眠気に負けて
そのまま寝てしまった
そんな生活が1週間
それくらいは水を沢山飲んですごしていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!