昇降口から出れば、すぐに蝉の声が耳に入ってくる
蝉は、ひと夏だけ しか生きられないことで有名だ
もし私が、ひと夏だけ しか生きられないとしたら
何を願うんだろう。
二宮の額にはもう汗が流れている
タオルはいつも持ち歩いてるから
これで拭け、と渡す
夏休み前だから特別、とかじゃなくて
いつもと変わらない返事に安心する
さっき思っていた事が繰り返されて驚く
見つかるはずも無いのに蝉を探す二宮が少し可笑しい
すると突然、心の中で素朴な質問が一つ思い浮かんだ
これが聞きたかった事。
なんか二宮の答え、気になったから
遊びまくる とかかな。
意外な答えだった
いつもの巫山戯た雰囲気じゃなくて
真面目に言ったみたいだった
そんな事言うと、調子に乗るのは見越してあるので
取り敢えず否定しておく
私だったら……
私だったら、なにを願うのかな
分かんないや、
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。