第6話

勝利と異変
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2018/12/27 15:25
この試合に負けたらもう先輩達と試合出来ない。絶対に勝たなくちゃ!嬉し涙で終わらせる!
試合のホイッスルが体育館全体に鳴り響いた。
部員全員思いは同じ。絶対に勝つ。それ以外の答えはない。


試合も終盤に差し掛かった。
マッチポイント!この一点を取れば勝利。
私の前にトスが上がった。ボールは相手チームのラインギリギリのところに落ちた。

勝った!
チーム全員で喜んだ。このメンバーで次は全国大会!勝つ!絶対に!



試合が終わり、ロッカールームで休んでいた。

すると、LINE電話の音が!
画面を見ると
勇斗じゃん!
あれっ。
(でも今日って勇斗部活じゃなかったっけ?
もしかして、勇斗も休憩かなー)
私はそんなことを思いながら電話に出た。
もしもし-
勇斗-、どうしたの?
でも返答したのは勇斗の声ではなく同じサッカー部員の声だった。
サッカー部員
あっ!
もしもしあなたちゃん?
はい。そうですけど…
あのー勇斗は?
サッカー部員
それがさ部活中に勇斗が急に倒れて…
………
その後も部員の子が話してくれるんだけど、全然耳に入ってこなかった。
今からそっちに行く!
どこ?どこで練習してる?
サッカー部員
いつものところ!
ありがとう
私は何も言わずにロッカールームを抜け出した。

(いつも練習してる所って学校だよね。そこまで行けば…)
私は無我夢中で走り抜けた。
(勇斗なんで?どうしたの?何があったの?)

やっとで学校につき、いつも練習してるところに向かった。
するとサッカー部はいつも通り練習をしていた。

電話をくれた子に聞いてみた。
あのー勇斗は?
どこですか?
サッカー部員
あっ!あなたちゃん
勇斗なら保健室にいるよ。
連れて行ってあげる。
ありがとうございます
保健室につくと勇斗は横になり眠ったままだった。
あのー勇斗は?
大丈夫なんですか?
サッカー部員
さっき先生が見ててくれたから大丈夫。
はー
良かった。
私は安心してふらっと倒れそうになった。
するとサッカー部員の子が
サッカー部員
おっと!大丈夫?少し休んだ方がいいんじゃない?
すると椅子に座らせてくれた。
そして横に一緒に座ってきた。なんか変な感じだ。
サッカー部員
急にさ、胸の方を押さえだしたんだよ。勇斗。
そしたらそのまま倒れた。すぐには意識が戻んなくて…
保健室に連れて行ってそれでまだこの状態。
胸を押さえた!?
なんか見たことある。
サッカー部員
えっ!
私が部活早く終わって、それで勇斗の方も見に行こうかなって。そしたら水道の方にいて。その時胸押さえてた。でもその時ボールが当たっただけだって言ってた。
サッカー部員
あなたちゃんも見たことあるんだ。
見たことあるって
今まで何回もあったんですか?
サッカー部員
うん。
俺が見た時もあなたちゃんが見た時と同じような言い方だった。でもあの時ボール当たってないのに変だなーって思ったんだよ。
(勇斗、何があったんだろう)
サッカー部員
心配だよね
はい。
ちょっとした沈黙があった。
(ヤバイ何話そ。なんで二人っきりなの!)
あっ!あのー
サッカー部員
ん?
名前は?
サッカー部員
あっ!ごめんね
言い忘れてた。
俺は勇斗の友達。って言うか親友?みたいな。
サッカー部員
板垣瑞生です。
瑞生君。
目が茶色で透き通ってて…
(ん?聞いたことある名前。)
あれっ。もしかして中学の時転校した事ある?
*以下、サッカー部員→板垣瑞生になります。
瑞生
瑞生
うん。あるよ。
えっ!もしかして、あなた?
うん。そうだよ!
(えっ!マジ、運命の再会的な)
瑞生
瑞生
久しぶりだな
うんそうだね
それからいろいろ話した。過去の思い出を。
瑞生
瑞生
俺さ、中学の頃に好きな人いたんだ。
えっ!誰?
瑞生
瑞生
実は…あなた
……まじで?
瑞生
瑞生
だから今日会えてめっちゃ嬉しいんだよ
まさか瑞生が私に好意を抱いていたなんて…
そのあとまた沈黙が…


すると急に瑞生が立ちあがり、私を勇斗の横にあったベッドに倒され押し付けられた。
ちょっと、やめてよ!
何すんの?
瑞生
瑞生
お前と勇斗、付き合ってないでしょ?
言われてみればそうだけど…
瑞生
瑞生
じゃーさ、俺と付き合ってくれない?
えっ
ちょっと待って!
ほんとに待って!
瑞生
瑞生
待てない。
(今までの瑞生じゃない)
私は横のベッドに寝ている勇斗を見た。
(私は勇斗しか好きになんない)
そう思ってたら瑞生の唇と私の唇が触れていた。
(ヤバイなんで私、こんなことされてんの?)
私はなんとか瑞生をどけようと必死だった。
でも男の力には勝てない。
瑞生の唇はいつしか私の首元にまで迫ってきていた。

もう!やめてってば!!
瑞生は我に返ったように
瑞生
瑞生
ご、ごめん
瑞生
瑞生
練習戻るわ
私はあの時、時が止まったようだった。初めてだった。キス。私のファーストキスは瑞生に…




私はそのまま椅子に座りこみ、落ち込んだ。




すると…

勇斗と手が動いた。
勇斗!勇斗!
勇斗はゆっくり目を開けた。
良かったー
勇斗
勇斗
あなたじゃん!
なんでいんの?
なんでって!
勇斗が倒れたって連絡聞いて
それで駆けつけたんだよ!
勇斗
勇斗
ごめん
いいよ謝んなくて
勇斗
勇斗
そういえば今日試合だったんだよな
勇斗
勇斗
どうだった?
勝ったよ!
勇斗
勇斗
良かったー
自分のことのように喜んでくれた勇斗。
ほんとに優しい。




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