✧狗巻棘の場合
呑気ににゃんにゃん言ってる私が今いるのはクソでかい木のてっぺん辺り
先程の任務で術式をかけられてしまい、猫化してしまったのだ
せっかくなので、普段登れないところを登ろうとした結果がこれだ
だが、今私はものすごーく困っている
とはいえずっと木の上で生活するのも無理と思い、自分の運動神経を信じて死ぬ覚悟で飛び降りた
ボフッ
痛みが無いのと棘くんが目の前にいることを考えると、どうやらキャッチしてくれたらしい
そう私に問いかけると棘くんはポケットから猫用の餌を取り出してくれた
一口舐めてみると意外と美味しく、そこら辺の飼い猫が羨ましくなった
それを聞いて驚いた
来週は私と棘くんの付き合って一年記念日があるのだ
棘くんは何も言わないから忘れているとばかり思っていた
―
棘くんはサプライズ何にしようかとか考えている間も楽しくて仕方ないので、記念日までの数日間あなたへの好き好きオーラが溢れ出していたとか
✧宿儺の場合
何故私が猫語を喋っているのかというと、数時間にドジって猫になる術式をかけられてしまったのだ
なってしまったものは仕方なく、人間に戻るまで思う存分猫の姿を楽しむことにした
驚いたのは猫の嗅覚は凄いというのは本当のことで、今もこうやって直ぐに宿儺の所に行くことが出来た
自分のことがバレた私は驚き理由を聞くと
宿儺は心底面倒くさそうに溜息をついた
そう言いながら顔を少し乱暴に撫でてくれた
宿儺の表情が心做しか優しく見えたのは気のせいじゃないはず
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。