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あたしside
『 桜 、』
「 こんにちは 」
『 え 、ああ!』
「 ここの桜見に来ると思ってました 」
『 お花見やっぱりしたいなって思って 』
「 桜好きなんですか?」
『 桜 、好きですね 』
桜 、桜なんてほんとは嫌いだ
ママとパパは桜の木の下にわたしと兄貴を置いてどこかに消えてしまった
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母「 顕嵐 、あなたちょっとママとパパお買い物してくるから 」
父「 顕嵐 、あなたを任せたぞ 」
顕嵐「 うん!いってらっしゃい!」
『 ママチョコ買ってきてね 』
母「 わかったわ 」
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1時間経っても2時間経っても3時間たってもママとパパは帰ってこなくて 、おじさんとおばさんが迎えに来て 、兄貴になにかを耳打ちして兄貴が泣きそうになって 、わたしを見つめて涙をこらえて 、帰ろうかって言ってくれた後からの記憶はない
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「 大丈夫ですか?」
『 え 、大丈夫です 』
「 そうですか 、
あ 、俺菊池風磨っていいます 」
『 阿部あなたです 』
「 俺そこに見える高校の生徒なんです 」
『 わたしもです 』
「 何年生?」
『 1年です 』
「 俺2年です 」
『 何組ですか?』
「 C組です 」
『 わたしも 、C組です 、!』
学年違うのにクラスの組が同じなだけでテンション上がっちゃうって笑
「 そうなんだね笑 」
苦笑いだよね笑
「 俺と桜見ない?」
『 見ます 』
「 俺の後ろ乗ってみ 」
『 はい 』
「 ちゃんと捕まってろよ?」
『 ん 』
風磨くんはすっごくいい匂いがして兄貴みたいに安心感があった
『 っわ 、きれい 』
「 そうっしょ?俺のすきな景色 」
『 連れてきてくれてありがとうございます 』
心が洗われるみたいだ 、
「 あのさ 、もしかして 、あなたちゃんのお兄ちゃんって顕嵐先輩?」
『 そうです笑 』
「 目とか似てるね笑 」
『 そうですか?笑 』
「 うん 、そっくり 」
昨日の安井先生もそうだけど 、兄貴に似てるって言われるとひとりじゃないんだなって思えて安心するんだよね
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!